<リシャール・ミル チャリティトーナメント 最終日◇27日◇朱鷺の台カントリークラブ(石川県)◇6838ヤード・パー70>海外と日本の両舞台で戦う大西魁斗が、国内男子ツアーでは2022年「フジサンケイクラシック」以来、4年ぶりとなる通算2勝目を飾った。自身の勝利としても、2024年の米下部ツアー「UNCヘルス選手権」以来となる。
2打リードの単独首位で迎えた最終日は、同組の小平智、出利葉太一郎と最終ホールまでし烈な優勝争いを繰り広げた。これまでの2勝はいずれも逆転。自身のスタイルである“攻めのゴルフ”でつかんできた。しかし、今回は追われる立場だった。前半は「攻撃的に行きたかったですけど、ミスが気になるので、狙いたいところも狙いきれなかった」と、スコアを落としたくない気持ちが先に立ち、自分らしいゴルフを展開できなかった。それが前半に伸ばせなかった要因だという。中盤には、米ツアーで優勝経験のある小平に首位で並ばれる場面もあった。「気が抜けない」状況のなかで、「自分の攻めるゴルフでやらなきゃいけないな」と気持ちを切り替えた。そこから「思うような球が打てるようになってきた」とスコアを伸ばし、16番では7メートルを沈めてイーグル。最終18番はボギーとしたものの、リードを守り切って勝利を手にした。優勝が決まった瞬間は、「当然、うれしかったですけど、最後がボギーなので、やっぱり重要な場面でいい球を打てなかったのが悔しいです」と、喜びのなかにも悔しさをにじませた。それでも、日本ツアーでは初優勝から4年ぶりの勝利。「いろんな出来事があった」と、ここまでの道のりを振り返る。2021年5月に日本でプロ転向し、翌22年に初優勝。23年から2年間は米下部のコーン・フェリーツアーに参戦し、24年には同ツアーで初優勝を飾った。同年のポイントランキング25位で、念願だったPGAツアーの出場権も手にした。日本での初優勝を自信に米下部ツアーへ向かったが、予選落ちが続き、「思うようにいかなかった」のが1年目。2年目には昇格を果たし、PGAツアーへのスタートラインに立った。だが、自身初の米ツアーでは苦戦が続き、ポイントランキングは199位。「思うようにいかない1年」だった。日本での初優勝から「自信」を持って米下部ツアーへ向かったが、1年目は予選落ちが続いた。2年目は昇格を果たし、PGAツアーへのスタートラインに立った。自身初の米ツアーでは苦戦が続き、ポイントランキングは199位。「思うようにいかない1年」だった。「今年もコーン・フェリーからスタートして、思うような感じでプレーができていなくて。今年は(日本に)戻ってきてじっくりスイングを直しつつ、また来年に向けてという形で来た。シーズン終わりまでの最後ら辺で勝てれば、調子が戻っておけばいいのかなと思ったんですけど、こんなに早く復帰(復活優勝)できると思っていなかったです」
苦しい時間が長かったからこそ、今回の優勝は本人にとって思いがけないものだった。そんな日々を支えたのが、コーチの内藤雄士氏と両親の存在だった。内藤氏については、「本当に誰よりも一緒に時間を過ごしているというか…。ちょっと考えると涙が出てきそうですけど」と声を詰まらせた。どんなときも2人で試行錯誤を重ねてきた日々がよみがえり、目を潤ませる。ホールアウト後には熱いハグを交わした。「色々なゴルフ人生をともに歩んできた。きょう、こうして少しでもいい方向に行っているということをスコアで見せられて、本当にホッとしています」と安どした。母・泉さんは試合に帯同し、日々サポートを続けている。母への思いを問われると、表情を緩めながら感謝を口にした。「僕が初めてアメリカに行ったのが9歳なんですけれども、その時に母と2人で行って、お互い語学も喋れないところからスタートだった。母とは本当に絆があって、感謝の気持ちでいっぱいです」とほほ笑んだ。いつも笑顔を振りまき、話すたびに周囲を笑わせる前向きな姿が印象的な大西だが、実は「ものすごくネガティブ」だという。そんな息子を、泉さんは常にポジティブな言葉で後押ししてきた。「海外に行けると思ってくれている。誰よりも信じてくれている。見えない世界が見えているんじゃないかと思わせてくれる。それが本当に支えになっている。母が行けると思っているので行けるのかなと思える」泉さんとは「お互いに何も言わなくても分かる」ほどの強い絆がある。「おにぎりとかでもそうなんですけど、梅干しが多いなとか昆布が多いなとか。きょうはラップが違うなとか、温かく食べてほしいから工夫してラップしているんだなとか」。大西が少しでもいい状態で戦えるよう、細かなところまで工夫してくれているという。「本当に今あるのは、母が信じてくれて、(一緒に)海外に行って、やってくれているからだと思います。母の気持ちは分からないですけど、2人で海外に行って、母も色んな犠牲をして、大変だったこともあると思う。僕には見せなかったですけど。そういうことがあって今の自分がいると思います」。あふれる感謝の思いを言葉にした。もちろん、感謝したいのは母だけではない。「父がいなければ遠征もできない」。父は常に「本当に元気でいればいい」と言ってくれるという。「父と母がいいバランスで育ててくれたのかなと思います」とうなずいた。スイング面では内藤氏が支え、「トレーナーさんもケガしたら絶対に治してくれるっていう信頼がある」とスタッフへの感謝も忘れない。「個人スポーツですけど、周りの方に支えられて今ここにいる。引き続きサポートしていただけたらなと思います」と話した。今季の残りは日本ツアーに出場する。「日本オープンも控えているので頑張りたい。きょうは反省点がいろいろあったので、このあとコーチと話して、来週に向けて少しずつ取り組んでいきたい」と、すでに次戦へ気持ちを切り替えている。そして12月には、米ツアーの来季出場権をかけたQT(予選会)の2次予選に挑む。来季の主戦場は米下部ツアーに決まっているが、再び世界最高峰の舞台に立つための準備を進める。今回の“復活V”を糧に、チームとともに再び米国への道を歩んでいく。(文・高木彩音)
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