ゴルフのトーナメント会場は“ネタの宝庫”。ただ、そのすべてを伝えることはなかなか困難なこと…。そこで現場記者がコースを歩くなか“見た”、“聞いた”もののなかからちょっと気になった1つのテーマ、すなわち“ヒトネタ”をご紹介! 今回は国内女子ツアー「NEC軽井沢72ゴルフ」が行われている、軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)から。 ◇
大会初日、ギャラリーゲートを見ていると、来場者が入場する際にタブレットへ顔を向けている姿が目に入った。「何をしているんだろう?」。気になって近づいてみると、今大会で導入されている顔認証システムだった。チケット購入時に事前登録しておけば、入場ゲートでタブレットに顔を向けるだけ。チケットを取り出す必要はないという。「これは実際にやってみたい」。ということで、筆者も体験してみた。顔認証を登録し、いざ入場ゲートへ。タブレットに顔を向けると、認証完了。そして、画面には事前に登録した“推し女子プロ”が登場し、出迎えてくれる。あっという間に入場できた。なんともあっけない。“チケットを出して、係員に見せて…”という、これまでの観戦スタイルとは明らかに違う。スマートフォンを取り出す必要もなく、文字通り“顔パス”で入場できる。
しかも、この顔認証は入場だけではなく、ギャラリープラザでの買い物にも利用できる。顔認証を登録しておけば、飲食物や物品を購入する際も顔を認証するだけで決済が可能だ。実際に体験してみると、これが思った以上にラク。財布を取り出して、スマートフォンを探して…。という動作がないため、非常にスムーズだ。あまりに簡単なので、「きょうは飲み食べ放題なのでは?」とついつい勘違いしてしまいそうになるほどだった。もちろん、購入した分だけしっかり支払いは発生するのでご安心を。ちなみに、顔認証の登録は当日、会場でも行うことができる。事前登録を忘れてしまった場合でも、その場で対応できるのはうれしいところだ。
今回の顔認証を活用した“スマート観戦体験”は、単に入場や購入をスムーズにするだけではない。各日の入場券に加えて、駐車券、ギャラリープラザで使える1500円分の食事券、特別エリアへの入場券(シッティングエリア、座席数制限あり)、専用化粧室の利用、大会オリジナル伸縮式チェアなどの特典も用意されている。さらに、入場ゲートや会場内店舗だけでなく、軽井沢プリンスホテル、軽井沢浅間プリンスホテルなどの周辺提携施設も顔認証でシームレスにつながる。チケットやスマートフォンを提示する必要も、財布を取り出す必要もない。IDやパスワードの入力も不要。手ぶらで認証できる利便性とセキュリティを両立したシステムとなっているから驚きだ。そして、もう1つ忘れてはいけないのが、ギャラリープラザで買い物をした際の“レシート”だ。これは捨てずに取っておいてほしい。レシートを使って抽選会に応募すると、NECグループ所属の原江里菜、安田祐香の『サイン入りプレー写真 日付入り』や、安田の『サイン入りゴルフボール』『ゴルフマーカー』などが当たるチャンスがある。女子プロのグッズが当たる可能性まであるとは、なかなかうれしい。
では、なぜゴルフの大会にこうしたシステムを導入したのか。近年、多くの人が集まるライブイベントやスポーツ会場では、入場ゲートの混雑や物販・飲食店舗での支払いに伴う待ち時間が課題となっている。特に広大なゴルフ場では、来場者がチケットや財布を持ち歩く煩わしさもある。そこでNECは、最先端の生体認証技術やネットワーク技術を活用。こうした課題を解決し、手ぶらで快適に楽しめるシームレスな、“これからのイベントのかたち”の提供を目指しているという。このシステムは2024年にテストを実施し、25年から本格導入された。実際に体験してみると、顔を向けるだけで入場でき、買い物もスムーズ。ゴルフ観戦につきものだった“チケットを出す”、“財布を取り出す”といった小さな手間がなくなるだけで、想像以上にストレスが少ない。
もちろん、ゴルフ観戦の主役は選手たち。だが、観戦する側の体験も、これから少しずつ変わっていくのかもしれない。今回の「NEC軽井沢72ゴルフ」での取り組みをきっかけに、今後はほかのスポーツやイベントなどにも、この“手ぶらで楽しめる”仕組みが広がっていくのか。ゴルフ場での新たな観戦スタイルに、これからも注目したい。(文・高木彩音)
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