ゴルフのトーナメント会場は“ネタの宝庫”。ただ、そのすべてを伝えることはなかなか困難なこと…。そこで現場記者がコースを歩くなか“見た”、“聞いた”もののなかからちょっと気になった1つのテーマ、すなわち“ヒトネタ”をご紹介! 今回は国内女子ツアー「大東建託・いい部屋ネットレディス」が行われるザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡県)から。
◇プロ9年目でツアー通算6勝を誇る河本結。パーオンホールの平均パット数は昨年「1.7541」でツアー1位、今年も「1.7461」で2位につけるなど、“パットの女王”として存在感を示している。その河本が、プロアマ日の練習グリーンで、ひときわ目を引く練習器具を使って調整する姿が見られた。パターのフェース側には、ツノのような2本のガイドが取り付けられ、その間隔は直径4.267センチのボールがギリギリ収まる約5センチ。このガイドにボールが当たらないようストロークすることで、芯でとらえる感覚を養う仕組みだ。ショートパットだけでなく、10メートルのロングパットでも、難なくガイドに当てずに打っていた。「いろいろ案があるというか、考えていることがありまして…」と切り出すと、実際にアドレスを構えながら、この練習器具を使う理由やメリットについて説明してくれた。まず明かしたのは、自身のパターへのこだわり。ヘッド上部のセンターには、一般的なサイトラインではなく、点だけが入っている。「例えば、その線に対して、(目標方向への)線が合っていなかったら気持ち悪いじゃないですか。でも、それってその日の目の状態によっても変わってくる。『きょうは右に見えるな、気持ち悪いな…』と思った瞬間に打てなくなる。それが嫌で線をつけていないんです」サイトラインをあえて入れないことで、アドレス時の方向性への迷いを減らしている。一方で、「点だけにしているとフェース面がどこに向いているかわからなくなる」という側面もある。そこで、この器具を使い、スタート前の練習で視覚のズレを整えているという。「毎日、絶対に使います。(視覚が)狂うから、朝の練習でフェースの向きがどこに向いているのかを確認しています。試合で気持ち悪いようにしたくないので、これで調整して、目が狂わないようしています」わずかなズレも見逃したくない。「(フェースの向きが)1度ズレていたら、たぶん戻るのに時間がかかるし、パターがズレているのに、『自分がおかしい。ストロークが違う』と思ってしまう」。小さなズレが積み重なれば、「相当ズレていく」可能性もある。「そうならないように、できるだけ、常にズレないようにやっています」。これが安定したパット力の一因となっている。この器具はヘッドに装着できる仕様で、上部にはサイトラインが施されている。練習時はそのラインを基準に、方向性の感覚を整えているという。さらに、この器具のポイントは軽さにもある。「すごく軽いので、パターの重さが(ほとんど)変わらないんです。ほかの練習器具だと、少し重くなることもある」。器具の有無で重さが変わると、練習時とラウンド時で感覚に差が生まれてしまう。「それがないので、朝に使える」。実戦に近い感覚で調整できる点も、大きなメリットだ。ロングパットでもガイドに当てずに打ち抜く技術については、「けっこうプレッシャーはあります。でも、慣れたら打てるし、勝手に集中するんです」と目を輝かせた。この練習器具は、約3年前にネット通販で購入したもの。「よく練習器具を買うんです。『ゴルフ練習器具』って調べては、“ポチッ”みたいな。試してみようと思ったら買ってみて、使っています」と、自ら課題に合わせて探すスタイルだ。さらに、こんなエピソードを続ける。「実はこれ、2代目なんです。この会社の方が、朝の練習場で使っているのを見て、去年の開幕戦のときにくれました。本当にありがたいです」。思わぬ縁を明かした。平均パット数上位の裏には、こうした繊細かつ高い集中力を求められる練習の積み重ねがある。その一端を垣間見ることができた。今大会もグリーン上でのパフォーマンスに注目したい。(文・高木彩音)
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