<BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 最終日◇7日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇決勝=7464ヤード・パー71>2024年覇者の45歳・岩田寛が、大会史上初めて宍戸ヒルズCC西コースのみでの2勝目達成者になった。これでツアー通算8勝目。円熟味がそのまま強さになっている、そんな印象だ。
首位と3打差の最終組からスタートしたが、前半は苦しい展開だった。2番パー5ではティショットを左に曲げ、ボールは木の根元へ。9番アイアンが曲がるトラブルに見舞われながらもプレーを続行し、4オン2パットのボギー。さらに4番でもスコアを落とし、前半で2つ落とし折り返した。このとき、同組の片岡尚之、出利葉太一郎とは5〜6打差。気持ち的にも「諦め」モードになっていたという。「そのときはめちゃくちゃ応援していましたよ、2人のことを。なお(片岡)が8番でOBを打った時も『助かれ』って思っていたし、出利葉くんが9番で池に入れちゃっても、とりあえず応援していました」と明かす。だが後半、流れが一変する。「前半は本当にひどくて、前半みたいなゴルフの時って、結果ばかり考えちゃってミスばかりする。とりあえず、“いまに集中しよう”と思って、これ以上ボギーを打ちたくないって思っていたら上位が崩れてきた」。11番から15番で4バーディを奪取。トータル8アンダーで片岡、コー・タイチー(香港)に並び、プレーオフへ突入した時は、もう“応援団”ではない。決着は1ホール目。岩田がバーディを奪い、ガッツポーズを繰り出した。前回優勝時もプレーオフだったが、「2年前は途中から1位だった。今回は最大6打差ぐらいあったかな。気持ち的に全然違います」と振り返る。カップイン直後の感想は「やっと終わった」。表彰式などを終えた優勝会見では「本当にお腹が空いた」と言って笑いを誘った。「ラウンド中は食べないので、終わるとドッとお腹が減ります」。いま食べたいものを聞かれると「生姜焼き」と回答。ちなみに、2年前の優勝会見でも報道陣にプレーオフを制した“今”の気持ちを聞かれた際、「お腹が減りました」と返していた。大会2勝は00、03年の伊澤利光がいるが、00年はホウライカントリー倶楽部 (栃木県)が舞台で、03年から開催されている宍戸での複数回優勝者はいなかった。「初日に聞いたんですかね。2回優勝した人はいないって。“その気持ちわかる…”と思って。辛いです。難しくて」。経験者ならではの実感だ。45歳127日での優勝は、自身が更新した大会最年長記録をさらに塗り替えるものとなった。40代で6勝を挙げているが、「藤田さんだったり、ジャンボさん、海外だったらビジェイ・シンとか、40代になってから勝っている人もいるので、まだまだだなと思います」と冷静に話す。昨年12月に亡くなった尾崎将司さん(享年78歳)からかけられた言葉で印象に残っているものがある。「褒められたことです。ジャンボさんと回るときに紫のスパイクを履いていたんですけど、『いい色履いているじゃねえか』って言われました」。岩田にとって尾崎さんは「カリスマ」というべき存在。55歳241日という最年長優勝記録も追いかける。今大会の優勝により、来季から5年間(2031年まで)のシード権を獲得。さらに、日本開催の米国男子ツアー「ベイカレントクラシック」の出場権も手にした。「日本でやる試合なのでチャンスはあると思う」。慣れた芝でのプレーを武器に上位進出を狙う。また、海外で戦う日本人選手との再会も「楽しみ」と胸を躍らせた。メジャーということもあり獲得ポイントは625ポイントと高い。ランキングは42位から5位へ大きくジャンプアップし、年間王者争いも視野に入る。「(年間王者への意識は)まだないんですけど、年間王者になると海外の道が開ける。DP(欧州ツアー)に去年少し出たんですけど、楽しかったし、PGAツアーばかりだと思っていたんですけど、その道に行きたいなみたいな考えもあります」と、挑戦への意欲も消えない。5年後にはシニアツアー参戦資格も得る45歳。「もっと飛ばしたいし、もっと上手くなりたい。…結婚したいです」。“岩田節”ともいえるコメントも円熟味を増している。さらなる進化を目指す45歳。その道はまだまだ続いていく。(文・高木彩音)
<ゴルフ情報ALBA Net>






