<Vポイント×SMBCレディス 最終日◇22日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6731ヤード・パー72>2021年6月の「ヨネックスレディス」以来となる5年ぶりの勝利も、キャディを務める父・清也さんとつかみ取った。優勝スピーチでは、「いつもキャディバッグを担いでくれる父に感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝。だがその父は、試合が終わると照れくさかったのか表彰式には出ず、手押しカートを押して、そそくさとクラブハウスへ戻ってきた。ベンチで一息ついているところで記者に囲まれると「良かった」と一言。そして「若い子が活躍しているけど、この年齢でもできる」と38歳になった娘を労う。
9歳でゴルフを始めた時から、いつも隣には父がいた。ゴルフ練習場を経営する家庭で育ち、父がコーチを務める坂田塾で腕を磨いた。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロフィールの『師弟関係』に記されているのも“父”。ツアー初優勝を挙げた2011年の「ニトリレディス」など、清也さんがバッグを担ぐ試合で何度も優勝を手にしてきた。プロになって21年目だが、ゴルフへの向き合い方は変わらないと清也さんは明かす。「合宿もするし、シーズン中にトレーニングするのも変わらない。ショットは負けてないですよ」。開幕後2試合連続で予選落ちを喫しながら勝利を挙げられた要因については、「パターが特に悪くて、乗っても3パットという状態だったけど、このグリーンの速さが合ったんじゃないかな」と分析する。ただ、3日間の全体平均ストロークが『75.3815』とオーバーパーを記録したこの大会では、娘の“変化”も感じていた。特に最終日。「全ホール、グリーンでラインを聞かれた気がしますね。ここは1つの失敗でガタガタいってしまうコース。僕も聞かれないと何も言わないんだけど、きょうはいつも以上に聞かれたな」と明かす。首位と1打差の2位からスタートした最終日は、2番でカップ右横から9メートルのフックラインを決めてバーディが先行。これで流れに乗ると、7番でも5メートルを決めた。ウイニングパットも4メートルを沈めてのバーディ締め。これだけでなく、4メートルをねじ込んだ14番など要所で決めたパーパットも、笠は勝利の要因に挙げる。父と協力し、何度も勝負所を決めていた。今後の娘に期待することを聞かれた父は、「結婚するならすればいいし、ゴルフを続けるなら続ければいい。おまかせですよ。彼女の人生だもん」と話した。この日の優勝会見で笠は、「今年、優勝して、ちょっとゴルフをやめる…ではないけど、前向きには考えられなかった。とにかく1勝して考えようと思っていました」など、年齢を理由に葛藤する胸の内も明かしていたが、これから何があっても、父が娘を見守っていく姿勢は変わらない。優勝インタビューで『スタート前に父と何か話したか』と聞かれた笠の答えは、「なにも話していません。普段から見守ってくれているので」。なによりの信頼が感じられる言葉だ。清也さんは、優勝を決めた瞬間、娘が流した涙について、「花粉症ですよ。木戸(愛)プロとかが(優勝後に)来てくれて涙が出ていたけど、花粉症でしょ」とやわらかな表情で冗談を飛ばした。これからも息の合ったプレーを見せてくれるだろう。(文・間宮輝憲)
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