白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ(5月8〜11日、茨城県・茨城ゴルフ倶楽部 東コース、優勝:申ジエ)初日から首位を走り続けた藤田さいきは、15年ぶりのメジャー制覇にわずかに届かなかった。2打差で迎えた最終日は「75」と伸ばしきれず、申ジエ(韓国)とのプレーオフへ。18番パー5の1ホール目でジエが50センチにつけてバーディを奪い、勝負が決まった。藤田は「本当に素晴らしいプレーだったと思います」と潔く相手を称えた。4日間を通して、体との戦いでもあった。大会前から続いた体調不良は最終ラウンドでピークを迎え、途中で木陰に座り込む場面も。プレーオフ後は自力歩行が困難になり、病院に搬送された。「検査はすべて陰性で、熱中症でした」と説明したが、その表情には疲労がにじんでいた。体調を理由に棄権してもおかしくない状況で、藤田は最後までクラブを握った。「単純にゴルフが好きなのかもしれない」。その思いが、15年ぶりメジャー制覇への挑戦を支えていた。勝者となったジエも「最後まであきらめず、精一杯戦っていた。その姿に心を打たれました」と敬意を表した。ただ藤田には、ひとつだけ心残りがあった。「ちゃんとジエちゃんに“おめでとう”って言いたかった。こんな結果になってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです」。そう言うと、大粒の涙が頬を伝った。限界を超えながら走り切った4日間。その姿は、勝敗を超えて胸を熱くするものだった。あの週を振り返れば、藤田さいきが示した“揺るがない強さ”が、確かにそこに残っている。
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