<ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 最終日◇28日◇利府ゴルフ倶楽部(宮城県)◇6590ヤード・パー72>穴井詩が2打差の2位タイと奮闘し、“引退試合”に華を添えた。
「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」(19〜21日)のプロアマで、思わぬアクシデントに見舞われた。靴下を履こうとした瞬間、ぎっくり腰に。「元気なんですよ」が口癖で、体の丈夫さを売りにしてきた穴井に“魔女の一撃”が襲いかかった。実は10年前にも、車を降りたときに同じような経験があるという。「お恥ずかしい話ですが」と、顔を赤らめながら明かしたエピソードだ。今は「完治したといってもいいかな」と言えるまでに回復したが、ティショットの瞬間にはまだ少し怖さが残る。だが、この“抑えたスイング”が功を奏した。初日のフェアウェイキープ率は78.6%(11/14)と安定し、平均飛距離も263ヤードをマーク。豪快なスイングが代名詞とあって、「今までの私を否定するようですが…」と苦笑いしつつも、「67」で首位発進を決めた。2日目は強風に苦しみスコアを1つ落としたものの、最終日は5バーディ・2ボギーの「69」。初優勝を果たした菅楓華の“大まくり”には及ばなかったが、堂々の2位フィニッシュ。7試合ぶりのトップ10入りを果たした。今大会は、キャディを務める望月龍太氏の“引退試合”だった。友人の会社に就職し、キャディから会社員へ転身するという。職業柄、家を空けることが多く、子供と過ごす時間を大切にしたい。そんな親心から引退を決意した。望月さんは国内男子ツアーで2020-21シーズン賞金王となったチャン・キム(米国)のバッグを3年半担いだ経験を持つ。最も印象に残る思い出も、キムとともに優勝を分かち合えた瞬間だという。穴井とは今年に入ってから数試合をともにした程度。長年のコンビというわけではないが、それでも最後の試合で優勝争いに加わり、「多くの方から応援もいただいて、良い光景が見れました」と笑顔を見せた。試合会場には家族も駆けつけ、子供たちからは手作りの金メダルが贈られるという、温かいシーンもあった。「心残りなく去って行ってほしいですね(笑)」。笑顔で望月氏を送り出した穴井だが、本心には優勝をプレゼントできなかった、という悔いもある。それでも、優勝争いで引退試合に彩りを加えることはできた。新たな人生の門出に立ち会った3日間。通算6勝の37歳、穴井のゴルフ人生はこれからも続いていく(文・齊藤啓介)
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