<パナソニックオープン 3日目◇27日◇泉ヶ丘カントリークラブ(大阪府)◇6993ヤード・パー71>気合のひと振りだった。最終18番パー5。片岡尚之が赤面の“テンプラ”を帳消しにした。残り282ヤードを3番ウッドで2オンに成功。15メートルから2パットでのバーディで締めくくり、首位と3打差の2位まで上がってきた。
「ティショットをめちゃくちゃテンプラしました。もう球が見えなくなるくらい上がりました。フェアウェイには行ったけど、みんなより40ヤード以上は飛んでいなかったですね」4打差の13位から出て、最終組の5つ前の組で回った。前半は4バーディ・1ボギーの「33」。順調にスコアを伸ばし、後半も15番パー4でこの日7つ目のバーディを奪った。だが、上位も足踏みしてくれない。「刻もうかとも考えたけど、トップも伸ばしている。イーグル、バーディを狙おうと思って、振りちぎりました」。まさに執念の一打で、今季開幕戦「東建ホームメイトカップ」以来となる8度目の最終日最終組もゲットした。東北福祉大4年の2019年にプロ宣言し、翌年ツアーデビューを果たした。4戦目の21年「ジャパンプレーヤーズ チャンピオンシップbyサトウ食品」で初優勝。順調なプロ生活のスタートを切ったが、まだ2勝目には届いていない。初V後は2位が7度。あと一歩のところで勝利を逃し続けてきた。今季は開幕戦の3位が最高で、その後はトップ10入りはなし。「理由はわからないけど、構えたらクラブが下りてこない。なぜか今週は気持ちよく打てています」。調子は決して悪くない。プライベートも充実している。昨年10月20日に結婚し、今年2月9日に長男・波瑠(はる)くんが誕生した。「はる」という響きが好きで、画数なども参考にして片岡が命名したという。「一人だとストレスをため込んでしまったり、イライラすることもあるけど、子どもを抱っこしたら吹き飛びます」。発奮材料はまだある。大会最終日の翌日29日は妻・さくらさんの24歳の誕生日。現在は育児に専念しているが、東北高時代はゴルフ部に所属していた経験を生かしてゴルフタレントとしても活動する愛妻に、大きなプレゼントを届けたい。「そうなるといいですね。久しぶりの優勝争いで、あしたは多分めちゃくちゃ緊張すると思う。でも、そういうなかでいいショット、いいパットが打てれば、これからの自信にもなる。どれだけ際どいパットを決められるかがカギだと思います」初Vの試合から継続している連続出場は、今大会で114試合に伸びた。歴代3位の記録で1位は宮本勝昌の151試合。令和の“鉄人”は4年ぶりの優勝を手土産に、愛する家族が待つ家に帰る。(文・臼杵孝志)
<ゴルフ情報ALBA Net>