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トップスタートの40分前集合がルール 通算3勝の36歳ベテランが人生初の“待機出場”「このラッキーを生かしたい」

<ANAオープン 初日◇18日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>出場が決まったのはスタート時間の30分前だった。初日の朝に欠場者が出て、現地ウェイティング1番の片岡大育に出場の機会が訪れた。この日は5バーディ・1ボギーの「68」で回り、首位と3打差の6位タイで滑り出した。

≪写真≫軽量モデルで振りやすい!片岡大育のドライバー

「正直出られると思っていませんでした」。2週前に非シード選手を対象とした優先出場順位を入れ替えるリランキングが行われ、片岡は44位となった。今大会はウェイティング1番目。過去にウェイティングで1番や2番でも出場できたことはないため、半ばあきらめていた舞台だ。現地ウェイティングにはルールがある。まず、開幕前日水曜日の12時までにウェイティングのエントリーを済ませる。水曜日のうちに繰り上がるケースもあるが、決まらなかった場合、1番手の選手は初日のトップスタートの40分前までに会場でサインを済ませないといけない。この日のトップスタートは7時。片岡は午前5時40分にコースに到着して手続きを済ませた。スタート直前に出場が決まるケースもあるので余裕を持って会場に入り、朝食を済ませてから体をほぐして7時30分頃から練習を開始。そして8時頃に8時35分スタートの枠での出場が決まった。結果としてほぼいつものルーティンと同じ、スタート1時間から練習ができていた。人生で初めての現地ウェイティングからの出場。「ちょっとそわそわしました」と普段と違う感情が混じってのティオフでもあった。「体は仕上がっていて、調子もいいイメージ。普通にやろうと気負わず、自然体を心掛けました」。スタートの10番(パー4)は、「いいティショットを打って左のファーストカット。残り150ヤードの2打目も8番アイアンで完璧なショットで1.5メートルのバーディパットもいい感じで打てた」と“おはようバーディ”。「気持ちのいい完璧なスタート」で流れを作って好発進につなげた。今年10月に37歳になる片岡は、2013年に初シードを獲得。15年の「関西オープン」で初優勝を遂げるなど通算3勝を挙げている。16年は賞金ランキング5位にも入った。18年には欧州やアジアなど海外ツアーにも積極的に参戦したが、その強い片岡のゴルフを支えていたのは針の穴を通すほどの精度を誇ったドライバーショットだった。19年に6年間守ったシード権を手放すと、20年には顔面神経麻痺を患った。次第にゴルフの調子を落とし、自身の武器であったドライバーショットの精度を失った。23年末のQTは2位に入り、ゴルフの調子も上がってきたはずだった。しかし持ち球のフェードが大事なところで左に打ち出して左に曲がる逆球になり、リズムを崩すこともあった。24年シーズンは結果的に約9万円差で6季ぶりの賞金シード復活を逃した。今年6月に「左に行かない」エースドライバーと巡り合った。タイトリストの「GT1」。左への不安がなくなり安心してフェアウェイに置ける回数が増えた。「フェアウェイキープ率も5位に入っていて、本当に曲がっていないんだなと自信になっている。曲がらないことでゴルフが楽になっています」。生命線を取り戻している。ドライバーの不安が無くなるとゴルフの調子は自然と上向いた。「調子はいいけど、凡ミスをして流れを悪くすることがある。予選を通っても上位に行けないことがあったので、そこは気をつけたいですね」。今季はここまで7試合に出場して予選通過は6回だが、「関西オープン」の45位タイが最高成績。今週はもうひと段階上にいきたいところだ。月曜日の主催者推薦選考会にも出場していたが1打足りずに不通過。「あきらめムードだったけどラッキーで巡ってきた。この運をしっかり生かしたい。あす以降も何も変えずに僕らしくステディなゴルフで上位を目指したい」と力を込めた。

<ゴルフ情報ALBA Net>

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