<ツアー選手権 最終日◇24日◇イースト・レイクGC(ジョージア州)◇7440ヤード・パー70>米国男子ツアー最終戦。首位タイでスタートした、34歳のトミー・フリートウッド(イングランド)がトータル18アンダーで逃げ切り、悲願の米ツアー初優勝を果たした。
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DPワールド(欧州)ツアーで通算7勝を誇り、2017年には年間王者にも輝いている。アメリカ選抜と欧州選抜が戦う対抗戦「ライダーカップ」は常連で、その実績は折り紙付き。ただ、“経歴書”に唯一欠けていたのが、米ツアーでの優勝だった。米ツアーではこれまでトップ5が30回、2位が6回とあと一歩届かず。強いけど勝てない“最強の無冠”として163試合を過ごしてきた。今年6月「トラベラーズ選手権」では、2位に3打差をつけて最終日を迎えたが「72」と崩れ、キーガン・ブラッドリー(米国)に勝利をさらわれた。プレーオフシリーズ初戦「フェデックス・セントジュード選手権」では、3日目に単独首位に立ったが、J.J.スポーン(米国)、同郷のジャスティン・ローズとのプレーオフに加われず、またしても栄冠を逃した。この時の心境について、「何度うまくいかなくても、どれだけ疑念が湧いても、自分を再び立ち上がらせ、粘り強くならなければならなかった」と振り返る。何度折れても立ち上がる。先週のプレーオフ第2戦「BMW選手権」では4位。初優勝への足音も近づいていた。今大会は6位発進を決めると、2日目から首位を守り続けた。“鬼門”の最終日も5バーディ・3ボギーの「68」とスコアを伸ばし、パトリック・キャントレー、ラッセル・ヘンリー(ともに米国)に3打差をつけた。最終ホールではバーディパットがわずかに届かず、タップインパーでホールアウト。ボールを拾い上げる表情は、喜びよりも安どに見えた。その後、勝利をかみしめるように大きく両手を掲げ、雄たけびを上げた。「誇らしさ、安ど感、うれしさ。さまざまな感情が入り混じっていると思う。しばらくは勝利の実感も湧かない。でも、本当に素晴らしい一日だった」幾度も優勝争いに加わりながら、手にできなかった初優勝。この1勝を得るのに164試合を要した。だからこそ、その喜びはひとしおで、これまでの苦労が走馬灯のようによみがえった。「自分には立ち上がる力がある、闘志が強い、と口で言うのは簡単だろう。でも、実際にそれを証明しなければならないとなると、話は別だ。ピンチのときに間違った判断をしてしまったこともあるし、悪いスイングになったかもしれない。正しいことを積み重ね、ただ進み続ければ必ず実現できると証明できたことを、本当にうれしく思っている」手にした1勝の価値はあまりにも大きい。初優勝であると同時に、プレーオフ最終戦での勝利により“年間王者”の称号も獲得。優勝賞金1000万ドル(約14億6866万円)というビッグマネーも手にした。喜びにひたりながらも、34歳にとってはあくまで通過点。「これから続く、多くの勝利の最初の1つに過ぎないことを願っている」。“無冠”のくびきから解き放たれたフリートウッドは、さらなる勝利に飢えている。
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