<明治安田レディスゴルフトーナメント 初日◇18日◇仙台クラシックゴルフ倶楽部(宮城県)◇ 6642ヤード・パー72>宮崎・日章学園高3年生だった2023年8月「全国高校選手権 個人の部」以来となる自己ベストスコア「63」をたたき出したのは、ルーキーの荒木優奈。派手なスコアを出した直後とは思えないほどおっとりとした口調で、「試合で出せてうれしいです。出るじゃん!って」と喜びを表現した。
【写真】ルーキー離れのショット力 荒木優奈はドローをこう打つ
プロ1年目とは思えない堂々のプレー。これまでのツアー自己ベストは5月の「ブリヂストンレディス」初日に出した「66」だったが、それを大幅に更新した。残り227ヤードからの2打目を、5番ウッドでグリーンに乗せ、6メートルのイーグルパットをねじ込んだ後半7番など、9アンダーのスタートダッシュを切った。バーディも7つ奪ったが、「取ったところ以外のショットは散らばっていました」と振り返る。スタートの10番は30センチ、2つ目のバーディを奪った12番パー3は2メートル。スコアを伸ばしたホールは、いずれもチャンスにつけていただけに意外な評価だが、それを補ってあまりあるのが、パッティングだった。「パッと(カップを)見て、入る気しかしなかった」。まさに“ゾーン”に入った状態だ。重たいグリーンに対して、あえてラインはあまり重視せず、とにかくカップに届かせるタッチを意識。それが面白いように決まった。こういった“無双状態”は、たまに訪れる感覚だというが、「プロになってからはなかった。今年初めてで、変な感じでした」とも話す。雑念を排したスピーディなパットも、それを後押しした。イーグルを取ってからは、「あと1個で『10(アンダー)』じゃんっ」と、自己新記録も意識したが、それには届かず。それでもクマ出没の影響もあり、事前にアウトコースしか回れなかったことを踏まえると上出来の内容だった。クマへの不安についても「全然なかったです。きのう(コースでは)なにもなかったし、出ないかなって」と話すあたり、肝っ玉の強さもうかがえる。急きょオフになった前日は、午前中に150球ほど打ち込みを行うと、午後はお気に入りのバラエティ番組を鑑賞するなど、のんびりと過ごした。無観客開催についても「静かだな〜と思ったくらい。もともと試合中に喋るほうではないので、淡々とできました」と、影響はみじんも感じさせない。今季はフル出場を続けており、これが18試合目。うちトップ10入りは6度で、メルセデス・ランキングも現在10位と、「ニチレイレディス」でツアー初優勝を挙げた入谷響とともに、昨年プロ入りの97期生を引っ張る存在になっている。「前は予選通過が目標だったけど、最近は優勝を目指して毎週やってます」。その視線は、今では頂点にのみ向けられている。杜の都で、同期2人目の優勝者に名乗りをあげる。(文・間宮輝憲)
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