<リゾートトラスト レディス 初日◇29日◇グランディ鳴門ゴルフクラブ36(徳島県)◇6585ヤード・パー72>今週の国内女子ツアーは、9年ぶりとなる徳島県での開催。2016年大会以来4度目となる徳島県鳴門市のグランディ鳴門GC36は、いったいどんなコースなのか? 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に現地を回ってみて感じたポイントを伝えてもらい、それを踏まえての展望も占ってもらった。
■前回は短縮競技になるほどの強風が難敵昨年の関西GC(兵庫県)、2年前のグランディ浜名湖GC(静岡県)など、毎年、コースが変わるサーキット大会は、ひさしぶりに徳島に戻ってきた。その第一印象は、「フェアウェイが狭いですね。どちらかというと、この大会で使われるコースは、広々としていて開放的な印象が多いのですが」というもの。雰囲気が少し変わるようだ。「曲がるとOBになってしまうポイントも多く潜んでますし、刻むところはしっかり刻むことが大事になります」。ここが警戒ポイントになる。OBはもちろんだが、とにかくフェアウェイをキープすることが重要になると大西氏は力説する。それは「ポテトチップス」のように波打つ、グリーンのアンジュレーション対策のため。「ラフは長くないですが、そこからでは狙えないグリーンですね。ピンも左右に振ってくるでしょうし、寄らない場所に外すのは致命傷になりかねません。とにかくフェアウェイから打つことが大事になります」。それゆえ“刻む”という選択肢を意識する必要が出てくる。なにより最大の敵になりそうなのが、眼前に広がる海から吹き込んでくる風。「前回(16年)はここで表純子選手が優勝しているのですが、その時は強風により短縮競技(36ホール)になったほど。コースをよく知る方から聞いたのですが、昼から強く吹くことが多いそうで、午前組で回る日に伸ばすことが大事になりそうです」。その海風は重く、アゲンストのホールでは要注意なのだが、「空気自体が重いのかフォローも飛ばないんです」というのも現地で感じたポイント。とにかく、この風のジャッジが命運を分けそうだ。■地元勢の活躍にも期待そのコースで活躍しそうな選手として名前が挙がったのが、先週の「ブリヂストンレディス」で完全優勝を遂げ、今季2勝目を挙げた佐久間朱莉だ。「調子もいいですし、コースで見ていても球が曲がりません。2週連続優勝も十分にあり得ます」と、その状態に太鼓判を押す。同週に米国で行われる「全米女子オープン」への出場を強く願いながら、世界ランクで及ばず出場権を逃し、日本に残ることになった。「気持ちも強く入っているはずです」。現在メルセデス・ランキング1位に立つ22歳にとっては、その悔しさをスッキリと晴らす舞台にもなる。他にも、注目選手として堀琴音、ルーキー・都玲華の徳島勢を挙げた。堀は16年大会も出場し、その時は3アンダー・23位とまずまずの成績を残している。「状態もよさそうですよ」と大西氏の目にも映る存在だ。また都も「今週(コーチの)石井忍さんも来て、熱心に練習していました。しっかり振り切れてましたし、練習場ではフィニッシュで手を離すような場面も見かけませんでしたね」。こちらもいい状態で開幕を迎えられそうだ。なにより「地元の後押しも心強いはずです」という“+α”の効果にも期待したい。前述したように、今週は全米女子オープンに出場するため小祝さくら、鈴木愛、河本結ら実力者が多数不在。「誰にでもチャンスがあります」という言い方もできるフィールドでもある。海から吹く重い風と、アンジュレーションに富むグリーン。それを4日間攻略し続けた選手がタイトルに近づくことになる。解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツへと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。また現在、安田祐香の指導にもあたっている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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