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「なんでUTだけ曲がるんだろう?」をシャフトで解決 “59回目の挑戦”へ上田桃子の秘策

<ソニー 日本女子プロゴルフ選手権 事前情報◇4日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>メジャー開幕前の“恒例行事”ともいえる取材に応じた上田桃子は、「今年で終わらせたいです(笑)」と明るい声で宣言を打ち立てる。これまでに通算16勝を挙げ、賞金女王になった経験もあるが、不思議とメジャータイトルには縁がなかった。59回目の挑戦。その連鎖に、このあたりでピリオドを打ちたい。

だるまと優利と上田桃子【写真】

2週前の「ニトリレディス」で4位タイになり、先週はスキップ。「(調子は)いいです」と、その言葉からも気合が感じられる。休みにした先週は、辻村明志コーチとともに調整。「自分のイメージにもっと集中できるように。調子がよくないときは、集中力が出せず“どんどん足していく”作業が多いけど、少しずつ“捨てられるように”なってきた。そうするとイメージや出球、視野が広く見えたりもする」。上田流の表現で、その取り組みがもたらした効果を説明する。最近、ある“秘策”にも乗り出した。それはユーティリティ(UT)が主役になる。このシャフトをUT用のものではなくウッド用のものを挿し使用している。グラファイトデザインの最新モデル『TOUR AD GC』の7Sを挿し、その先端を1インチカット。これで長さを調整し、さらに重さももともとの65グラムになった状態に仕上げて、使っている。この意図について、上田はこう説明する。「新しいシャフトに替えていったけど、UTとスプーンだけは前のままでした。それで新しいシャフトからの“流れ”がうまく作れてなかった。ドライバーなどは左に行かないのに、UTがやけに左につかまる感じがして…。それで今のドライバーから同じ流れにしようと思い調整したら、つかまりが少なくなりました」。違和感をきっかけに変更。「なんでドライバーはいいのに、UTだけ曲がるんだろう?」という悩みをシャフトで解決した、というわけだ。その策を取り入れたのが、前述したニトリから。すぐに結果になって現れたことになる。ギア面でもメジャーに向けていい準備ができた。特にグリーン周りなど、このコースではラフが大敵になる。長さは60ミリと、メジャーとして決して長いわけではないが、さまざまな芝種が混在し、そのなかには厚く太い沖縄特有の芝もあり、それがプレーを難しくもする。上田も、「セカンドショットでいうとスピンが入りにくい。4日間通してで考え、焦らずやりたい」と警戒する部分だ。そのなかで、大きな不安を解消してクラブが振れる効果は大きい。アップダウンがきついコースの高台からは、すぐそばにある東シナ海も望める。開幕前は強い風は吹かなかったが、どこでその表情が変わるかも分からない。優勝するために必要なスコアも「イメージが湧かない」と言うほど。まずは「毎日60台で回る」、これを目標に掲げる。心・技・体、そして道具に自信を持った状態で、59回目のメジャー獲りへ向かっていくことができそうだ。(文・間宮輝憲)

<ゴルフ情報ALBA Net>

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