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賞金王・中島啓太ら若手が台頭 石川遼はZOZOで日本勢最上位に【国内男子ツアー10大ニュース】

今季も数多くの話題が生まれたゴルフ界。その中から、編集部が各ツアーの10大ニュースをピックアップしてシーズンを振り返る。今回は『国内男子ツアー』。

中島啓太直筆! 今年の漢字はこちら【写真】

■史上初の開催 日本で行われた欧州ツアー史上初めて欧州ツアーが日本で行われた。舞台は茨城県のPGM石岡ゴルフ倶楽部。日本ゴルフツアー機構(JGTO)とDPワールドツアー(欧州ツアー)の共同開催大会となる「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」が行われた。本大会は2022年に新設。その第1回大会は新型コロナウイルスによる入国者への措置の関係で、日本単独開催となったが、晴れて今年に共催大会として開催を迎えた。そんな記念すべき大会を制したのは、オーストラリアの27歳(当時)、ルーカス・ハーバートだった。アーロン・コッカリル(カナダ)とのプレーオフにもつれた最後は3.5メートルのバーディパットを沈めてガッツポーズ。キャディのニック・ピューさんと抱き合って喜びを爆発させた。日本勢最上位は岩田寛でトータル13アンダー・4位タイだった。■平田憲聖がツアー400人目となるメモリアルV「〜全英への道〜ミズノオープン」で記念すべき勝者が誕生した。大会を制したのはホストプロで2021年にプロ転向した22歳の平田憲聖。トータル17アンダーで並んだ中島啓太とのプレーオフに突入し、3ホール目にバーディを奪いうれしいツアー初優勝を遂げた。しかも、1973年のツアー制施行後では400人目の優勝というメモリアルVだった。その後、平田は「日本プロゴルフ選手権」でメジャーVも達成している。また、本大会の上位4名が「全英オープン」の切符を手にすることができるが、平田、中島、安森一貴、金谷拓実が出場権を獲得。大会史上初めて日本勢が全英4枠を独占した大会でもあった。■岩崎亜久竜がメジャーで初優勝10月12日から行われた「日本オープン」。今年は大阪の茨木カンツリー?楽部・西コースが舞台となった。ゴルファー日本一決定戦を制したのは、ツアー未勝利で今季は欧州を主戦場としていた25歳・岩崎亜久竜だった。首位と3打差の7位タイで出た最終日。6バーディ・1ボギーの『65』で回り、トータル8アンダーのあざやかな逆転劇で、ツアー初優勝をナショナルオープンで飾った。周囲に祝福され、涙を流して喜んだ岩ア。待ちに待った勝利に「今後に向けて大きな自信になります」と胸を張った。また、日本オープンでツアー初優勝を果たしたのは1973年以降で7人目。数少ない“名簿”に名を連ねることとにもなった。■石川遼がZOZOチャンピオンシップで4位 メキシコ戦への切符も獲得日本で開催された米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」。今年日本勢最上位となったのは石川遼だった。石川の最終日は8バーディ・3ボギー・1ダブルボギーと出入りの激しい内容ながら『67』をマークし、トータル7アンダー・4位タイでフィニッシュ。バーディラッシュでトップ5に入り、久しぶりに米ツアーでの優勝争いを演じた。また、トップ10以内に付与される米ツアーメキシコ大会「ワールドワイド・テクノロジー選手権」への出場権も獲得し、2週後はメキシコへ飛んだ。「全米オープン」を除いて北米大陸で行われる米ツアーに出るのは2021年3月の「ザ・ホンダ・クラシック」以来、およそ2年8カ月ぶり。予選落ちに終わったが、米ツアー再挑戦への思いが消えることはなかった。

■杉浦悠太が史上7人目のアマチュア優勝杉浦悠太(日大4年)が「ダンロップフェニックス」で快挙を成し遂げた。8月に行われた下部のABEMAツアー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」で優勝し、今大会に主催者推薦で出場権を得ていた杉浦だが、2日目にトップに立つと、3日目を終えてトータル12アンダーまで伸ばして後続に4打差をつけた。最終日は後半に入ってダブルボギーを打つなど苦しみながらも、トータル12アンダーで逃げ切った。中島啓太、蝉川泰果に続く3年連続8回目、史上7人目のアマチュア優勝者が誕生した。ダンロップフェニックスは今年で50回目を迎え、その長い歴史の中でアマチュアが勝つのは初めて。また、22歳68日での優勝は1977年のセベ・バレステロス(スペイン)に次ぐ2番目の年少記録で、日本人としては最年少記録であった。■松山英樹が4年ぶり国内ツアーにカムバック50回目の節目を迎えた「ダンロップフェニックス」に、2014年大会覇者の松山英樹が参戦。4年ぶりの国内男子ツアーへの出場となった。冠を務めるダンロップのホストプロとしての一戦で、10月に日本で開催された米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」以来の実戦となった。ZOZO終了後に体調を崩し、1週間半ほどクラブが握れなかった中で、初日にいきなり『63』をマークし、8アンダーで単独首位発進を決めた。しかし、2日目以降はスコアを伸ばすことができず、4年ぶりの国内ツアーはトータル5アンダー・10位タイに終わった。「状態はいいとは言えなかったんですけど、来年につながるような良いきっかけが見つかった感じ」と来季への期待を胸に宮崎の地を後にした。■“苦境”を乗り越えた鍋谷太一 プロ転向12年目で念願のツアー初V昨季に初シードを獲得した鍋谷太一が、「カシオワールドオープン」でプロ転向12年目にして念願のツアー初優勝を遂げた。最終18番では1メートルにつけたウイニングパットを沈めると両手でガッツポーズを決め、帽子のツバに手を当てて深く頭を下げた。初Vを制すまでの道のりは苦しかった。これまでQTで上位に入り前半戦の出場を得ることはあったが、後半戦の出場につながる成績を残せずにいた。父親の支援で生活する時期もあり、周りの同級生が社会でお金を稼いでいる姿を見て、自分が劣っていると感じた時期もあった。そんな鍋谷の気持ちを変えるキッカケとなったのが“結婚”。家庭を支える身になって「『やるしかない』って自分のなかで吹っ切れて」と前向きに。そんな苦境を乗り越えて“涙の栄冠”を手にした。そして、目標であった最終戦「JTカップ」にも今大会の優勝の権利で出場。賞金ランキングは自己ベストの7位に入った。■ベテランたちのシードを懸けた戦い多くの若手が台頭する国内男子ツアーだが、ベテラン勢たちのシードを懸けた戦いもあった。賞金ランキング上位65位までの選手には翌年のフル出場権が与えられるが、百戦錬磨の実力者たちであっても、そのボーダーにたどり着けずに涙をのんだ。14季連続でシードを獲得してきた池田勇太もその一人。69位で賞金シードを喪失することになった。池田は生涯獲得賞金ランキングで25位以内(7位)に入っているため、その資格を使用して来年のツアーに出場することができるが、来季の試合出場については検討中だという。さらに、2014年の賞金王で07年からシード権を維持してきた小田孔明も102位と振るわず、シードを失った。こちらは生涯獲得賞金ランキングによる1年シードを使い、来シーズンでの再起にかける。また、永久シード選手の片山晋呉も例外的ではあるが、賞金シードを失った一人。賞金ランク74位に終わり、連続賞金シード記録は尾崎将司の32シーズンに次ぐ25季でストップした。11月時点ではシード入りは目と鼻の先まで迫っていたが、賞金ランク4位以内に付与される海外シニアメジャー出場権を狙って、国内シニアツアーへの出場を優先。だが、奮闘むなしくランキング11位で権利を逃した。■宮本勝昌がシニアツアーで賞金王獲得国内シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」で宮本勝昌がトータル9アンダーで逃げ切り、シニア3勝目。そして、「人生で初めて一番になれた。最優秀選手賞的なのは51年生きてきて初めてなので、ものすごくうれしい」と、ゴルフ人生で初となる“賞金王タイトル”を獲得した。シーズン3勝はレギュラーツアーを通じて自身初。賞金ランキング2位のプラヤド・マークセン(タイ)には1300万円以上の差をつけての戴冠だった。

■23歳の中島啓太がルーキーイヤーで“賞金王”に輝く昨年の9月にプロ転向し、今季がルーキーイヤーだった23歳・中島啓太が“賞金王”に輝いた。6月の「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」でプロ初優勝を果たすと、「横浜ミナトチャンピオンシップ」、「マイナビABCチャンピオンシップ」を制してシーズン3勝を挙げた。23試合に出場して3度の優勝、5度の2位を含めてトップ10入りが17回。これは詳細なデータが残る1985年以降の記録で史上3位タイとなる。さらに9度の最終日最終組入りは、1999年以降の記録では最多であった。JGTO表彰式では『最優秀選手賞』、『賞金ランキング賞』、『最優秀新人賞 島田トロフィ』、『平均ストローク賞』、『バーディ率賞』、報道関係者の投票によって決まる『ゴルフ記者賞』の6冠を獲得。中島の強さが光った一年となった。また、ツアー史上3番目に若い賞金王となった中島を筆頭に、若手の台頭を感じさせる一年でもあった。賞金王争いも中島、22歳の蝉川泰果、25歳の金谷拓実の三つ巴となった。そして最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」では“若さ”が顕著に表れた。今年の優勝者、賞金ランク上位者など30人しか出場できないエリートフィールドの平均年齢は29.9歳。かつては「ゴルフのピークは30歳を過ぎてから」と言われたものだが、その年齢を平均値で下回った。また、今年は11人が初出場となったが、その選手たちの平均年齢は25.3歳。15回目の大会出場を果たした谷原秀人が「若すぎるでしょ」と舌を巻くほどだった。

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