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猛暑の余波で「よく分からない感覚」 小祝さくらが“未体験グリーン”を攻略し首位に浮上

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 初日◇8日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>「グリーンが速すぎて、特に後半が難しかったです」。トータル9アンダーの単独トップに浮上し、クラブハウスに戻ってきた小祝さくらは、一日を振り返ったとき、最初に出てきたのがこんな言葉だった。これまでに体験したことのない“高速グリーン”と対峙し記録した「67」は、大きな価値がある。

日没間際のグリーンはこんな感じ…【写真】

この夏の猛暑は、男女合わせてこれが3度目のメジャー大会開催という名門コースにも大きな影響を与えている。特に今回は、それがグリーンに顕著にあらわれた。強い日差しで芝が枯れ、砂まじりの状態に。大会が発表しているスティンプメーターやコンパクションの数字以上に“硬・速”に変貌してしまっている。小祝も、「よく分からない感覚」と未体験グリーンには驚きの声を挙げる。「いつもの半分くらいで打って、あとは(ショートパットは)だいたいですね」という方法でそこに対応した。ただ最後には「しっかり合わせられるようになりました」というのは、さすがの一言につきる。実際、最終18番では2.5メートルのバーディパットを決め、単独首位に躍り出た。風が「(午前組だった)昨日よりも吹いていなかった」というのも幸いし、ボギーフリーで18ホールを終えた。他の選手たちも同様に、このグリーンに手を焼いた。首位と3打差の3位タイにつけた山下美夢有は、前半4連続バーディを奪うなど大きく伸ばしたが、後半15番、16番で連続ボギーを叩き、一時立ったトップの座から陥落した。ラウンド後にはやはり、「グリーンの硬さが(前半と後半で)すごく変わった。海に近いインのほうが風があるので、その分、硬くなっていました」と明かす。「言葉では表せない難しさ」と、ライン読み、そして距離感を測るのに苦労した。午前組で回った選手も、それは変わらない。トータル3アンダー・14位タイの青木瀬令奈は、「スパイクマーク、ピッチマークを直すときも公園の土を叩いている感じでした。日差しに加え風が吹くから、前半、後半の違いは出ましたね」とその状況を話す。もともと傾斜が強いだけに、さらに難易度は上がる。グリーンサイドのアプローチも止まらず、予測できない動きをするため、極力パターで打ったり、フォローの時は手前から攻めるなど切り替えてプレーしたという。そして「ゴルフ場の人が大変だと思う。試合中はなかなかメンテナンスできないでしょうし、水を撒いたらベチャベチャになっちゃうので…」と、コース側の気持ちをおもんぱかった。開幕前にはコースセッティングを担当する山崎千佳代が、猛暑の影響もあり、想定よりもスピードが出ず、よくボールが止まるグリーンに対して苦しい胸の内を明かし、「これから転圧をかけ、刈り込んでいくことで(スピードは)上がっていくと思う」と対策について話していたが、思わぬ形で硬く、速いグリーンができあがってしまった。この日も気温は30度を突破。その日差しは選手の体力を激しく奪うと同時に、まさかの結果を生み出している。(文・間宮輝憲)

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