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裏方の予定が優勝争い 最年長初Vかかる渡部光洋は「ぼちぼちやります(笑)」

<パナソニックオープン 2日目◇23日◇小野東洋ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7113ヤード・パー72>

開催コースの小野東洋ゴルフ倶楽部に所属する50歳の渡部光洋(わたなべ・みつひろ)が初日の「67」に続き、第2ラウンドも7バーディ・3ボギー「68」の好スコアをマーク。トータル9アンダー・7位タイに名を連ねた。レギュラーツアー出場21試合目で6度目の予選通過。突然の“代打”出場で健闘どころか、新記録も狙える活躍だ。

昨夏から小野東洋GCに所属している渡部は、2018年に同コースで開催された「関西オープン」以来のレギュラーツアー出場。「自分が一番びっくりしています。パッティングが全部入った感じです。パットはハウスキャディさんに任せっきりです」。コースの形状は頭に入っているものの、所属してから月日が浅いだけに、グリーンについてはベテランのハウスキャディが頼りだ。その助言が的中して面白いようにパットが決まっている。

京都府出身の渡部は14歳でゴルフを始め、ゴルフの名門・平安高校、近畿大学のゴルフ部出身。ツアー6勝の平塚哲二は高校の同級生だ。大学卒業後、1995年にプロテストに合格して翌年ツアーデビューを果たす。ツアー2戦目となった96年の「日経カップ」で3位タイに入り華々しくキャリアをスタートさせたが、その後はツアー出場には恵まれず。これまでレギュラーツアーには20試合に出場して、生涯獲得賞金は596万円余り。

今年3月に50歳となり、レギュラーツアーの出場権をかけたQTは断念して、シニアツアーに専念している。今年の予選会を通過して今季は7試合に出場。「金秀シニア」で8位タイに入っている。

若い頃は300ヤード級の飛距離がウリ。「昔は飛ぶけど曲がっていた。今は270〜280行けばいいけど、曲がらなくなった」と飛距離と引き換えに安定感を手に入れた。4年ぶりのレギュラーツアーでも「シニアに出ているのでそれほど」緊張もせずに堂々とプレーをしている。

本来、渡部の枠は同コース所属プロの大先輩で2013年の「全米プロシニア」覇者の井戸木鴻樹だった。しかし、2週ほど前に右腕を肉離れして出場を断念。渡部に出番が回ってきた。「小野東洋といえば井戸木さんですからね。代わりにはならんと思っていた。僕でええんかって(笑)」と謙遜(けんそん)するが、ここまで井戸木の代わりを十分に務めている。初日の成績を受けて井戸木からは「がんばっとるな〜、いっとけー」と激励の言葉が届いた。

首位の宮本勝昌とは2打差。少し気が早いが、今大会で優勝した場合、1995年の「ゴルフダイジェストトーナメント」で優勝したスチュワート・ジン(豪州)の46歳135日を抜く最年長初優勝者になると同時に、1992年に45歳で初シードを獲得した井上久雄の記録を更新する最年長初シード選手となる。「そんな、ぼちぼちやります(笑)」と銀縁眼鏡がきらりと光る。

今週はもともとコース側のスタッフとして「“雑用”的なお手伝いで裏方」をする予定が急きょ、フィールドで輝く立場になった。週末もかつて憧れた舞台を存分に楽しむ。(文・小高拓)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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