<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 事前情報◇15日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6502ヤード・パー72>
今年の「全米女子アマ」を日本勢として37年ぶりに制したスーパー女子高生、馬場咲希。175センチの長身から放たれるドライバーショットは平均270ヤードというから、プロの世界で戦っても、飛ばし屋の部類に入る。今週の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」の練習日に撮影した最新ドライバースイングを、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏に解説してもらおう。
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アドレスから見ていくと、左手はセミストロング、右手はスクエアに握り、非常に美しいオーソドックスな形です。これは多くのPGAツアープレーヤーに共通しています。
バックスイングは上体主体。上腕を胸郭の前から外さないようにクラブを上げていきますので、後ろから見るとクラブが少しタテ(外側)に上がっていきます。そこから切り返しで骨盤を若干左へ移動させダウンスイングに移るのですが、彼女がすごいのはその場で一気に骨盤旋回させていくところ。骨盤の仕組みで考えると、その方がより速く旋回できます。
左足でグッと体重を受け止めてストッパーの役割を果たしていますので、効率よく骨盤が旋回。結果として、上体も勝手に高速回転します。その骨盤の動きのすごさが顕著に出ているのが、インパクト前後の“右足”です。
普通、スイングでは徐々に右足がめくれていくものですが、彼女の場合は逆。骨盤が“ギュンッ”と回った後にリバースするため、一度上がった右足カカトが戻るんです。
多くのプロゴルファーやプロ野球選手なども、しっかり左サイドで受け止めて旋回するため、このリバースアクションは行われているものですが、彼女のように目に見えてそれがわかる選手は珍しい。身体能力が高い選手ならではの動きともいえます。骨盤の動きがとてもシンプルなため、多くのジュニアゴルファーに見られる上体の右サイドへの倒れ込みがなく、その代償動作も見られません。
通常、下半身がこれだけダイナミックな動きをしますと、上半身やクラブの動きがもう少しネジレ、トルク多めになるものですが、彼女の上半身の使い方はまるでライン出しのようです。ショートトップに見えて、右肩が正面から見えていますので体はしっかり捻転されている。クラブの慣性力に負けて、普通はもっと間延びするものですが、ジョン・ラーム(スペイン)のように切り返しのタイミングが早く、胸の前から腕が外れないために、トップがここに収まります。
イメージとしてはクラブ、上体の動きは非常に安定感のある静かな動き。それに対して土台である骨盤、下半身は非常にダイナミックです。バランスの取れた素晴らしいスイングだと思います。こりゃ強いですよね。
■解説/森守洋
もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。
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