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河本力のクラブセッティングに隠された、ミケルソンとラームの勝者のスピリット【勝者のギア】

<Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 最終日◇28日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7191ヤード・パー72>

ツアーNo.1の飛ばし屋、河本力のツアー初優勝で幕を閉じた「Sansan KBCオーガスタ」。そんな22歳のクラブセッティングには、4大メジャーを制しているフィル・ミケルソン(米国)とジョン・ラーム(スペイン)のエッセンスが盛り込まれていた。

■ミケルソンの全米プロ制覇を見て、“軽硬”シャフトで長尺化

平均飛距離が320ヤードを超える河本で最初に気になるのが、やはりドライバーのスペック。ヘッドは用品契約を結ぶキャロウェイ『ローグST ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)』に、シャフトはフジクラの『ベンタスブラック 6TX』を組み合わせている。この“軽硬”シャフトを使ったきっかけは、昨年の「全米プロ」で50歳11カ月の史上最年長メジャー優勝を果たしたミケルソンだった。フジクラのツアー担当、田浦俊平氏が証言する。

「ミケルソンが全米プロで勝ったとき、『ベンタスブラック 6X』のルール上限ギリギリの47.75インチの長尺シャフトを使っていました。そのとき河本プロは『7X』を使っていたのですが、『6TX』の“軽硬”にして46.5インチにした。今年からルールで46インチが上限となったので、どんな計測法でも引っかからないように45.75インチに。でもシャフトは『6TX』のままですね」

『ベンタスブラック』自体はずっと使い続けている河本。ほかのシャフトをテストしても「またブラックに戻ってくる」と田浦氏はいう。今年のドライビングディスタンス部門では河本がダントツ1位だが、昨年1位に輝いた幡地隆寛や、今季のフェデックスカップ年間王者で米ツアーのドライビングディスタンス2位のローリー・マキロイ(北アイルランド)も『ベンタスブラック』を使用しており、まさに飛ばし屋が好むシャフトといえるだろう。ちなみに国内男子ツアーでは30人が使う人気シャフトとなっている。

河本の3番ウッドのシャフトは『ベンタスブラック 8X』。田浦氏は「流れ的にはちょうどいい。ドライバーが普通の長さ(45インチ)ならドライバーは7Xでしょうから」と話す。

■「ジョン・ラームと同じパターを使いたい」

イ・サンヒ(韓国)とトータル15アンダーで迎えた最終18番ホール。約3メートルのウイニングパットを決めたのは、オデッセイの『ホワイトホットOG ROSSIE S』だった。こちらは昨年の「全米オープン」を制したラームと同じモデル。今度はオデッセイのツアー担当、中島申隆(のぶたか)氏が証言する。

「『ジョン・ラームと同じパターを使いたい』という河本プロの要望からスタートしました。オフから調整を重ねてきて、あのパターへの信頼度は高いです。マレット型のショートネックで『距離感とスピード感が出しやすい』と本人は言っています。ヘッドは大きすぎず小さすぎず、ブラックで締まってスマートに見えるんです」

今シーズンはブレード型の『TRI-HOT 5K TWO』を使ったこともあるが、いまはマレット型の『ホワイトホットOG ROSSIE S』に落ち着いている。芥屋ゴルフ倶楽部のコーライグリーンでもそれは替わることがなかった。

また、市販品にはパターヘッドにアライメントの線が入っているが、河本のパターには入ってない。「ボールの3本線だけに集中して打ちたいというのが本人にはある」と中島氏。ボールはキャロウェイ『クロムソフトX LSトリプル・トラック』で赤と青の3本線が入っており、これを河本はターゲットに合わせて置いて打っている。

握りはノーマルな順手なのに、パターの長さは36インチとちょっと長め。これも今年のオフの調整のなかで35インチから1インチ伸ばしている。「ヒジを曲げるタイプだから、長くしてヘッドの重みを感じながら打ちたいのでしょう。グリップは『スーパーストローク』で軽く、バランスが出てしまうので、ヘッドのウェートは軽くしています」(中島氏)。

将来は世界最高峰の米国男子ツアーでのプレーし、「メジャー制覇」を思い描く。勝者のスピリットを取り入れたクラブセッティングからも、海の向こうへの意識が強く感じられた。

【河本力の優勝クラブセッティング】

1W:キャロウェイ ローグST ◆◆◆(9.0度/ベンタスブラック 6TX 45.75インチ)

3W:キャロウェイ エピックフラッシュ サブゼロ(15度/ベンタスブラック 8X)

2U:キャロウェイ X FORGED UT(18度/DG AMT X100)

3,4I:キャロウェイ APEX TCB(DG EX TOUR ISSUE X100)

5〜9I:キャロウェイ APEX MB(DG EX TOUR ISSUE X100)

48,54度:キャロウェイ JAWS RAW(DG EX TOUR ISSUE X100)

60度:キャロウェイ JAWS プロトタイプ(DG EX TOUR ISSUE X100)

PT:オデッセイ ホワイトホットOG ROSSIE S

BALL:キャロウェイ クロムソフトX LSトリプル・トラック

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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