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「下を向かないように」 安本大祐は尊敬する先輩の言葉を守ってハーフ『29』急浮上

<日本プロゴルフ選手権 2日目◇5日◇グランフィールズカントリークラブ (静岡県)◇7219ヤード・パー71>

プロ14年目、35歳の安本大祐にとって苦しい前半だった。21位タイから出たこの日はスタートホールの10番でいきなりボギー。そして12番でもボギーを叩き、前半は2つ落として折り返した。「10番は難しいホールですし、今日のインコースはピン位置が難しく感じて、僕の中では耐えていました」。自身では合格点。我慢のご褒美は後半に待っていた。

1番パー5で2打目を右手前5メートルにつけてイーグルを奪うと、2番、3番でも3メートルを沈めて連続バーディを奪取した。6番、8番もバーディとしてここまで「26」。9番でバーディならハーフ20台となる。「練習でも20台は出したことはなかった。1打目がフェアウェイに行って、欲を出したら2打目をミスしました」。バーディパットは15メートルほど残り、「寄るとも、入るとも思っていなかった」という無心で転がしたボールはカップに吸い込まれた。インのスコアは「29」。この日「66」としてトータル7アンダーで決勝ラウンド進出を決めた。

「この2日間はラッキーもありました」。大きく曲げても木に当たってフェアウェイに戻ってきたり、トラブルと思っても打てるところにあったり。思考の変化が、幸運を呼び寄せたのかもしれない。

火曜日の夜にツアー通算21勝の池田勇太と二人きりで食事にいった。「ゴルフの悩みを相談しましたが、『最近のプレーは沈みがちだ。もっと楽しんでプレーをして、うまくいかなくても下を向くな』っていわれました。その言いつけを守っていたらいい結果になりました」。

安本と池田の関係は東北福祉大時代から。1学年上の池田から主将を受け継いだのが安本だ。大学時代から強烈な強さを発揮して団体戦でもチームを牽引した池田。「(池田)勇太さんのあとのキャプテンはすごいプレッシャーでした。常に吐きそうでした」と重圧に耐えながら主将を務め上げた。

プロ転向後も合宿や練習ラウンドを行うなど「公私にわたってお世話になっている」偉大な先輩の言葉は重みがある。「尊敬していますし、強い選手の言葉は説得力があります。明日からも苦しい時間が来ると思いますが、それに耐えていれば思いがけないラッキーが来ると思います。下を向かずにがんばります」。昨季賞金ランキング71位とキャリアハイの成績を残し、賞金シードまであと一歩だった。悲願の初優勝、シード獲得へ上を向いて歩く。(文・小高拓)

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