プロアマ問わず、フェアウェイウッドの定番といえば、ロフト15度の3番ウッドと18度の5番ウッドを入れるセッティングだ。しかし、一部のメーカーからは、2つのフェアウェイウッドのちょうど間にあたる16.5度の4番ウッドもラインナップされている。かつては『バフィ』と呼ばれて親しまれたこの4番ウッドとは、どんなクラブなのだろうか。
実はマイナーに見られがちなこの4番ウッドだが、愛用する世界のトップランカーは多い。今年のマスターズを制した世界ランキング1位スコッティ・シェフラー(米国)はテーラーメイド『ステルス』の“3HL”という16.5度のヘッドを使用しているし、同2位のジョン・ラーム(スペイン)もキャロウェイ『ローグST プロトタイプ』の4番ウッドをバッグインしている。
女子プロに目を移しても、世界ランキング2位のネリー・コルダ(米国)がタイトリストの『TSi2』のロフト16.5度を使用。これだけ多くのトップ選手が4番ウッドを愛用しているのはもちろん理由がある。
まず、ロフト15度の3番ウッドに比べて、地べたから楽に高い球が打てて、キャリーを出しやすいことがメリットとして挙げられる。世界のトッププロが? と疑問に思うかもしれないが、シビアなコンディションの中で戦うトッププロだからこそ、1.5度のロフトの違いにもこだわってクラブを選んでいるのだ。
実際、同じモデルの15度と16.5度のフェアウェイウッドを打ち比べてみると、わずか1.5度の差でも歴然とした違いがある。15度は少しのミスで球が浮かなかったり、右にすっぽ抜けるミスが出るが、16.5度はしっかりつかまった球で飛ばすことができる。キャリーや平均飛距離という意味では、15度を上回る可能性が高いのだ。
また、18度の5番ウッドと比べてもメリットがある。一般的に18度のフェアウェイウッドはさまざまなライへの対処を考えて、ヘッドがコンパクトに設計されることが多い。ヘッドの大きさは構えた時の安心感やミスへの強さにも直結する部分。その意味で、3番ウッドと同じヘッドサイズで、ロフトだけを寝かせた16.5度のフェアウェイウッドはオートマチックに一定した球を打つことを考えたら、5番ウッドよりもメリットがあるわけだ。
このように、16.5度は3番ウッドと5番ウッドのデメリットをしっかり払拭した万能クラブと考えることができるのだ。このロフトをラインナップしているメーカー、ブランドが少ないのが残念ではあるが、前述したテーラーメイド、キャロウェイ、タイトリストの他には、ダンロップ『XXIO』シリーズで16.5度の扱いがあるので、フェアウェイウッドに苦手意識を持っている人にはぜひ試してほしい。
最後に、16.5度の4番ウッドを使う際のセッティング例を2パターン紹介する。まずはフェアウェイウッドを万能的に使える16.5度1本のみにする方法。シェフラーがこのパターンだが、フェアウェイウッドの本数を減らすことで、ウェッジを追加したりと苦手をカバーする特別な1本を足すことができる。シャフラーはPWの下に50、56、60度とウェッジを3本入れている。
もう1つのパターンは、10.5度のドライバーの下に16.5度の4番ウッド、21度の7番ウッドを入れるパターン。ウッド3本をつかまりの良いロフトに変えることで、スライサーでも安定して飛距離を出しやすくなる。コルダがこのパターンで、右へのすっぽ抜けをとことん減らしたい上級者にもおすすめだ。(文・田辺直喜)
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