<関西オープン 初日◇14日◇よみうりカントリークラブ(兵庫県)◇7180ヤード・パー71>
毎年、大学生、高校生を中心としたアマチュアが多数出場する「関西オープンゴルフ選手権」。その中から優勝争いに絡んだ選手も過去にはいたが、今年の初日に注目を浴びたのはなんと今大会がプロのトーナメント初出場となった13歳の香川友(かがわ・とも)だ。
前半を3アンダーでハーフターンすると、13番、15番でもバーディを奪い、この時点で5アンダーとし、首位と1打差の2位タイにまで順位を上げる。しかし、終盤の16、18番の2つのパー5でともにダブルボギーを叩き、初日は1アンダー・60位タイフィニッシュとなった。それでも、ショットの正確性や飛距離、アプローチなど光るものは随所に見せ、同組でラウンドしていた66歳の倉本昌弘をうならせた。
「若いから素晴らしい感性を持っていますよね。球も飛ぶし、体も大きいし、あいさつもできるし、すごくいい子ですよ。最近のジュニアはプレーが遅いですが、彼は早い。このまましっかり伸びていってほしいですね」と倉本はべた褒め。ラウンド中も、香川がアプローチでピンに寄せると、「上手いねえ〜!」と思わず声を掛けたほどだ。
そんな香川は千葉県野田市出身で、現在は地元の野田市立第一中学校の2年生。170センチ、95キロだが、この1年で身長が5、6センチ伸びており、まだまだ大きくなる余地はある。ドライバーの飛距離は当たれば300ヤードを超えるという。
父親の正宏氏が野田市にあるゴルフ練習場、「関宿ゴルフセンター」を経営していることがゴルフを始めたきっかけ。1歳の頃から自然にプラスチック製のゴルフクラブを振るようになった。もちろん、その頃のことを香川自身は覚えていないが、物心ついたときには、ゴルフが当たり前のように日常生活に組み込まれていたわけだ。
ただ、環境だけでゴルフが上手くなるわけではない。本人の努力があってこその成長だが、同レンジには天然芝のアプローチ練習場があり、そこで毎日のようにボールを打ったことで今ではアプローチに絶対的な自信を持つ。実際、この日もアプローチが冴え、特に9番パー5で2打目をグリーン手前の残り25ヤード地点まで持ってくると、そこからピン右下1メートルにつけてバーディを奪っている。ちなみに、この日使った60度のサンドウェッジは自分でソールを削ったというから驚く。
小学生時代は、インド、ミャンマー、タイ、マレーシアに遠征するなど、海外のコースでプレーした経験を持つ。また、正宏さんの教育方針として「本物を見せる」ことがあり、5歳の頃に米国男子ツアーの「BMW選手権」へ行き、「いろんな技を見せるから好き」という憧れのフィル・ミケルソン(米国)のプレーを生で観戦した。
今年6月からは米国へ渡り、米ツアーのプレマンデーに挑戦する予定だという。プレマンデーとは、本戦の出場権をかけて戦うマンデートーナメントに出るための予選のこと。関門は2つあるが、それをクリアすると幼少の頃にロープの外から観ていた米ツアーの試合を、今度は自分がロープの中で戦うことになるのだ。
長期滞在になれば、経費はかさむが、幸いなことに今年からアマチュア資格規則が改定され、アマチュアでも企業と契約できるようになった。香川は現在、明治安田生命やすしざんまいなど6社と契約している。将来の夢は「マスターズで優勝すること」だが、今大会では「予選を通って上位にいきたい」と話し、60位タイまでの予選通過を目標とする。それが叶えば、伊藤誠道が持つ国内男子ツアーの史上最年少予選通過記録を13年ぶりに更新することになる。(文・山西英希)
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