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松山英樹はショートゲームでしのぐ一日 「あすからは今までのようなショットが見られそう」【今田竜二のマスターズ現地リポート】

現地時間7日に開幕した海外メジャー「マスターズ」。前年覇者の松山英樹は3バーディ・3ボギーの「72」で回り、首位と5打差の19位タイ発進。現地でラウンド解説を行う米国男子ツアー1勝の今田竜二に松山の戦いぶりを聞いた。

 

■体と腕のタイミングのズレも途中から修正できていた

朝から風速5m/s以上の強い風が常時吹き、時折、突風になるなど難しいコンディション。3月に発症した首の痛みが心配されたが、「朝の練習場からフルスイングでいいショットを連発していました。問題なくティオフできたと思います」と不安材料なくティボックスに向かった。

しかし、久しぶりのフルスイングと風の影響で思い通りに打てないシーンもあった。「1カ月ぐらいフルスイングできなかったと聞きます。体の回転と腕の振りのタイミングがちょっと合っていませんでした。コースに出るとアドレナリンが出てくるので、練習場で打つよりも体の回転スピードは速くなる。そのため、最初の方はタイミングが合っていなかったのかなと。8番以降は、いいショットを連発していたので、うまく合わせられたと思います」。左からのアゲンストや左サイドに行ってはダメな状況では右に出ている傾向もあったが、ホールを進むにつれて松山らしいショットが増えていった。

■風との戦いになる4日間 小技のフィーリングが良さそうなのは好材料

11番から13番まで続く“アーメン・コーナー”のひとつ、12番パー3ではティショットを池に落とした。「基本的には右からのアゲンストの風が吹いていましたが、松山選手が打つときはピンがフォローになったり、左から吹いたりややこしい揺れ方をしていました。先に打った、ジャスティン・トーマスが左奥に外したことも影響したかもしれません」。松山が12番で池に落とすのは珍しい光景だったが、やはり風のいたずらが大きく影響していた。

しかし、池に落としてもピンまで69ヤードの3打目を30センチに寄せて、“ナイスボギー”。この1打が象徴するように「リカバリーが素晴らしかった」とピンチをしのいで流れを作った。

この日のパーオン率は50パーセント。グリーンを外した9回のうち7回パーセーブに成功している。「いろいろなところから“OK”の距離に寄せていました。2メートルのパーパットを沈めてのイーブンパーではなくて、“OK”の距離に寄せてのイーブンパーだったので精神的にも良かったと思います」。楽にパーセーブできることで、精神的な負担も少なかったという。

12番を終えて2オーバーとなったが、パー5の13番、15番できっちりバーディを奪ってスコアを戻した。「(バーディを)取りたいところでしっかり取れています。16番(パー3)もいいティショットも打っていました。ケガの影響で調整が思うようにできていない中でも、悪くないゴルフができていたと思います」。

あす以降も強い風が吹く予報が出ている。「難しいコンディションになるので、ショートゲームに頼る4日間になると思いますが、ショートゲームのフィーリングはかなり良さそうなのは好材料。ショットに関しても今日は100パーセントフルスイングできていたので、あすからは今までのような松山英樹のショットがかなり見られると思います」。史上4人目の連覇に向けて、期待の持てる滑り出しとなった。

■今田竜二

いまだ・りゅうじ/1976年10月19日生まれ、広島県出身。テレビで見た「マスターズ」に憧れて、14歳で単身渡米。アマチュア時代の米国ランキングはタイガー・ウッズに次ぐ2位。下部ツアーを経て2005年から米国男子ツアーに参戦。2008年「AT&Tクラシック」で日本人3人目の米国男子ツアー優勝を遂げ、翌09年に憧れのマスターズに出場した。2022年のマスターズはTBSのラウンド解説を務めている。

<ゴルフ情報ALBA.Net>