<東建ホームメイトカップ 初日◇31日◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重県)◇7062ヤード・パー71>
ゴルフの総本山R&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が2022年1月から「パターを除くクラブの長さを46インチ以内に規制」するローカルルールを新設し、世界基準に合わせて国内男子ツアーもこのルールを採用した。昨季の中盤以降47.5インチのドライバーを使用していた石川遼は、その長さを45.75インチに戻したが、その使用シャフトに驚きの変化があった。
石川といえばプロ転向後、14年間グラファイトデザイン社製のシャフトを使用してきた。しかし今季国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」の第1ラウンドは、「中学時代はフジクラを使っていましたが、プロなって使うのは初めて」と、米国男子ツアーの選手をはじめハードヒッターに使用者の多い、藤倉コンポジットの『ベンタスTR』を選んだ。
「基本的なスタンスとして、シャフトにはまったく興味がないんです」。自分のスイングに合ったシャフトで、「イメージ通りのいいボールが打てればいい」と“結果”重視で選ぶ。これまでは試打したシャフトの種類も少ないという。
替えるきっかけとなったのは、シャフトを短く戻したタイミングだ。これまでは長尺も含めてグラファイトデザインの『ツアーAD PT』を使用していたが、「45.75インチに戻したときにフェードはかなり打ちやすいのですが、ドローの曲がり幅が弱かったんです」。いまも『ツアーAD PT』を使う3番ウッドは、曲がり幅が7ヤードほどのドローが打てるが、同じ感覚でドライバーを打つと「1ヤードするかしないか」と、ほぼストレートの球筋になる。石川がイメージする曲がり幅と違ったという。
「3番ウッドに比べると当然、ドライバーの方がつかまりにくいクラブなのですが、曲がり幅を近づけたいと思って複数のシャフトをテストしました。3番ウッドに近いドローが打てたのが『ベンタスTR』でした」。この日使用した『ベンタスTR』のほか、グラファイトデザインの『ツアーAD IZ』も候補の一つ。
「『ベンタスTR』より『ツアーAD IZ』の方がちょっとスピン量は少なくて球は強め。曲がり幅は『ベンタスTR』よりも1〜2ヤード薄い感じの、めちゃくちゃいいドローが出る。その2本ならどっちでもいいなとは思っていて、試合中に替えることも考えています」と“エース”選びの最中ともいう。
「試合になると緊張感があったり、集中したり、欲が出たりと練習とは違う状況になります。その中でどういう結果になるか、試合で使わないと分かりません。練習で分かることは3割、試合で使ってみて残りの7割が分かる感じです」と実戦投入をすることで、本当のギアの性能、特性が分かるという。
「今日はドライバーでミスショットはありましたが、完全に自分のスイングの問題。(ベンタスTRは)自分としてはかなり安心感があります」と高評価だった。
ちなみに、47.5インチと45.75インチを比べると「47.5インチの方がボールスピードで『2』ぐらい上がります。ただ、芯を食う確率は45.75インチの方が高い。1発の距離は長い方があるかもしれませんが、100球ずつ打ったら、(平均は)もしかしたら変わらないかもしれない」と、平均飛距離で見ると大きな違いはなさそうという。(文・小高拓)
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