このエントリーをはてなブックマークに追加

名参謀の親父ギャグにリラックス 堀琴音と大溝雅教キャディの8年間

<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 最終日◇20日◇鹿児島高牧CC(鹿児島県)◇6419ヤード・パー72>

堀琴音が鮮やかに2勝目をつかんだ。首位発進から終始崩れる様子を見せず、最後は接戦を制し、昨年7月以来のツアー2勝目を早々に決めた。

そんな堀の横でサポートを続けたのは、大溝雅教キャディだ。2019年には小平智のキャディとして米国男子ツアー優勝も経験。片山晋呉をはじめ、現在では小平をメインに、国内の名プレーヤーとのタッグを組んできた名参謀が、堀の優勝をそっと見届けた。

プロキャディとしてのキャリアのなかで、これまで数多くの選手のバッグを担いできた大溝氏だが、堀との出会いは2014年の11月。当時メインで担いでいた小平の試合がなくなったため、小平と同じウェア契約の堀のバッグを担ぐことになった。そこから専属ではないものの、幾度となくタッグを組んできた。

2年前、大溝氏は胃がんを患った。幸いにも早期発見で術後の経過もよく職場に復帰したが、北海道の病院で入院中の大溝氏を見舞ったのが堀だった。その2週前に堀のバッグを担いだが、「ニトリレディス」で北海道入りしていた堀は病室におもむき、こんな言葉をかけた。「ゴルフコースに戻ってこないと大溝さんじゃないよ、早く戻ってきて」。

大溝氏は復活を遂げたが、堀は不振にあえぎ、どん底に突き落とされているときだった。懸命にレギュラーツアー復帰を目指し、昨年の7月には涙の初優勝を果たしたが、その横に大溝氏はいなかった。そのときはハウスキャディでの優勝だった。

堀は見事に表舞台に戻ったが、心残りはあった。「大溝さんが担いだ選手のなかで、勝っていない選手のほうが少ない。だから私が悪いと思っていた、私が弱いから勝てない」。そんな思いを堀は持ち続け、だからこそ「大溝さんと勝ちたい」という気持ちが強くなっていった。

大溝氏は現在56歳。今回の勝利でキャディとしての優勝回数は32回に達した。堀が言うように選手をリラックスさせるのが得意だ。親父ギャグを言いながら、選手の緊張をほどく。「ジェネレーションギャップで分からないこともある(笑)。でもそれもおもしろい」と堀もそんな大溝氏とのタッグを楽しんできた。「よく二人で怒っていました。大人になりましたね」と大溝氏はいままでを振り返るが、「いまでは怒らなくなった。精神的に強くなった」と堀の復活劇に目を細めた。

「こっちゃん(堀の愛称)のお母さんと同い年、娘みたいなものですよ。ボクはリラックスさせてあげるだけ」と大溝氏がいえば、「選手いちばんで、謙虚で、基本的に最後はポジティブなことを言ってくれる」と堀は大溝氏に絶対の信頼を置く。「涙が出そうなくらいうれしい」と照れくさそうに笑った大溝氏。「本当に勝ててよかった」と少し言葉を詰まらせた堀。二人のビクトリーロードがようやく始まった。(文・高桑均)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

【関連記事】