ジャレッド・ライスとザ・プレーヤーズ選手権のチームがほんの一瞬でも立ち止まり、彼らが成し遂げたことを評価されてもいいだろう。世界はパンデミックの3年目を迎える中で、PGAツアーのフラッグシップ大会がようやく2022年にこれまで通りのスケールで開催される。
しかし、現実は彼らが自画自賛している時間などほとんどない。ファンはティファニーが手がける今年のゴールドトロフィーを誰が手にするか固唾を呑んで見守るだろうが、ザ・プレーヤーズ選手権の運営チームはすでに2023年以降の大会の計画を懸命に練っている。
「チームとこの組織の素晴らしいところは今を大切にする瞬間もあるが、一つ一つのことや完璧さに最新の注意を払うことだと思います。私たちが行っていることすべが可能な限り最高レベルになるように、見事に対応しています」とシニア・バイス・プレジデントでザ・プレーヤーズ選手権のエグゼクティブ・ディレクターのライスは語った。
ライスは1800人の地元のボランティアから力を借りるだけでなく、シニア・オペレーション・ディレクターのトッド・タタレック、トーナメント・サービス・マネージャーのエミリー・ウォーマック、シニア・セールス・ディレクターのロバート・コンラッドとフロリダ州北東の地域への奉仕活動をリードしているマーシャ・オリバーと協力して大会を運営している。
ライスと、結束の強い彼のチームが運営組織を監督する一方、800人近いPGAツアーの職員はザ・プレーヤーズの毎年の成功に貢献している。彼らの尽力が、TPCソーグラスのあの有名なアイランドグリーンがある17番ティから、たった300ヤード離れたところに構える18万7000平方フィートにも及ぶ輝かしいツアー本部への移転を推進した。
「PGAツアーすべての社員がザ・プレーヤーズの成功に貢献し、それぞれの役割を果たしています。1年のうちの1週間、大会が私たちのホームで行われます。そのおかげで誰もが貢献するという大会になっています。ロープ内外でこの大会を向上させていくことを考えているのは800人に近いのです」とライスは述べた。
20万人近くのファンたちは、2022年大会を観戦するためにTPCソーグラスへの入場を大いに期待している。2年前には新型コロナウイルス感染拡大により大会を中止し、それ以来となる観客を全面的に歓迎する光景を待ち望む。通常の20%のキャパシティーで開催された昨年の大会では、ジャスティン・トーマスがトロフィーを勝ち取った。
多くのファンをいかに安全にかつ責任を持って迎えるかを試行錯誤しながら、同時に最高峰の経験を約束するということは、言い換えれば、PGAツアーの本拠地にかなりの注目が集まるということだ。
「ゴルフ大会でファンの皆さんに最高の経験をしていただくという、私たちの望みに立ち返ることは、数年前のメモを見て、以前立ち止まっていたところから再び歩き出し、さらにそこから向上させていくことを意味しています」と大会を担当して6年目を迎えるライスは語った。「大きな挑戦です。2019年以来、通常のキャパでザ・プレーヤーズを開催していませんし、いつもの環境で優勝者を表彰することもしていませんからね」
その差に気づく人は少ないだろう。ライスは大会をPGAツアーの「ファン体験にうってつけのテスト会場」に例える。つまり、最先端の多様性を提供し、新しい技術を試すことを意味する。
大会はPGAツアーが昨年発表したESPN+との新たな9年の国内放送契約により幅広く放送されるのは間違いないだろう。それに伴い、2021年には93台のカメラがおよそ430ラウンドを中継し3万1000ストロークを放送し男子ゴルフでは最多の放送が復活した。
PGAツアーのAR(拡張現実)とTOUR Castの増幅された放送、ゴルフショットトラッカーでの実況が加わり、ファンにとってはザ・プレーヤーズをともに体感する方法が尽きることはない。
「コースは前もってセッティングされただけでなく、選手がいつどのホールでどんなショットを打っても大丈夫なようテスト期間にも耐えてきています。邪魔をするものは何もありません。同じような考えでファン体験やテクノロジーの導入も行います。新しい技術をツアーのレベルで初披露させ、ザ・プレーヤーズでそれらを初めて実行させることにプライドを持っています」とライスは述べる。
規模の大きい大会でこのようなことを実施することは、より多くの国際的な観衆を惹きつけていることと相まって、計画から実行までにかかる時間がより長くなることを意味する。今年のザ・プレーヤーズで最初のティショットが放たれるまでに、ライスのチームはすでに2023年大会の構築に目を向けている。
TPCソーグラスの敷地周辺の一時的なインフラ整備は10月中旬に始まり、ツアーの芝担当のチームは同じ頃にスタジアムコースに種を追い蒔きするプロセスに入る(追い蒔きはプレーに最適な状態にすると同時に3月にコースを仕上げるために必須の過程である)。
「翌年のカレンダーをめくる頃、PGAツアーのスタッフは休暇からもうすぐそこまで来ているザ・プレーヤーズモードに切り替えるのです」とライスは言う。
ライスは将来のザ・プレーヤーズのための計画は2025年まですでに進んでいると言う。そして新型コロナウイルス感染拡大が、事前に入念に計画を練ることしかできないことを証明した一方で、ライスとチームはそれにもかかわらずこれから先の大会の準備も着々としているので安心してほしい。
「一番楽しみなのは、ここ2年よりもいい状態にいることです。さらには選手、スポンサー、ファン、ボランティアに男子プロゴルフ大会において最高の経験を示すことです。それが私たちの得意分野です」とライスは意気込みを語った。
クリス・コックス著/PGAツアー
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