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松山英樹の球が打ちたかった!? ブルックス・ケプカが5年ぶりにクラブ契約をした理由

<ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン 事前情報◇8日◇TPCスコッツデール スタジアムC(米アリゾナ州)◇7261ヤード・パー71>

ブルックス・ケプカ(米国)と松山英樹にはいくつか共通点がある。今週開幕する「ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン」でともに2回優勝していること、国内男子ツアーの「ダンロップフェニックス」の歴代優勝者であること、4大メジャーのチャンピオンであること、そしてダンロップと用品契約を結んでいることだ。

ケプカは16年にナイキのクラブ撤退で契約フリーとなって以来、どのメーカーとも契約を結ばずに、メジャー4勝を積み重ねてきた。ところが昨年11月、ケプカはダンロップと用品契約を結び話題となる。その経緯について、ダンロップの広報に聞いた。

実はケプカは契約前の昨年2月から、「ダンロップフェニックスで日本に来たりとか、松山選手のプレーを見て気になっていたようで、現場で試してみようとなりました」と、スリクソンのアイアン『ZX7』を使い始めている。昨年のフェニックス・オープンも『ZX7』で制した。その前は別の日本メーカーのアイアンを使用していたケプカ。日本のアイアンが好きなのだろうか。「単純に『ZX7』の形状や打感、ソールの抜けの良さを気に入ってくれて、それがたまたま日本のブランドだったという感じです」とダンロップ広報は答える。

最近は松山の活躍もあって、米国でもスリクソンの知名度と人気はじわじわと高まってきている。契約プロはマスターズチャンピオンの松山のほか、全米チャンピオンのグレアム・マクドウェル(北アイルランド)、全米プロチャンピオンのキーガン・ブラッドリー(米国)、全英チャンピオンのシェーン・ローリー(アイルランド)とメジャー覇者ばかり。それが米国でのシェアを高めている1つの要因でもある。

スリクソンのアイアンを気に入ったケプカだが、松山のアイアンショットを見たときに弾道の違いに気づく。「ヒデキは何で風に強い球を打てるんだ?」。それまでは他社のボールを使っていたが、風に強いボールを打つためにボールもスリクソンにチェンジ。『Z-STAR◆(ダイヤモンド)』を使い始めた。

『Z-STAR』シリーズはもともと、やわらかい打感でよりスピン性能が高い『Z-STAR』と、しっかりした打感でより飛距離性能が高い『Z-STAR XV』の2種類しかなかった。松山は後者をずっと使い続けている。第3のボールともいえる『ダイヤモンド』とはどういうボールなのだろうか?

「実はPGAツアーの選手から『200ヤードのピンをアイアンで止めたい』と要望があったのです。『Z-STAR』は止まるけど距離が足りない。『Z-STAR XV』だと距離は出るけど止まり方がもう少し。アイアンで打ったときに、風に負けない弾道でスピン量を増やした“中間”ともいえるのが『ダイヤモンド』。日本では一般ゴルファーで200ヤードをアイアンで止めたいという人は少ないと思うので、限定発売となっています」(ダンロップ広報)

こうしてケプカは、アイアン、ボールと段階的にスリクソン化。契約した今では、ドライバーとウェッジもスリクソンのクラブがバッグに収まっている。ドライバーに関しては『ZX5』をすぐ気に入ったようだ。「ケプカ選手はもともと飛距離が出るので、方向性を重要視していました。『ZX5』は方向性が良くスピン量もちょうど良かったので、スッと替えられたようです。発売から1年以上経ったクラブを世界のトッププロが気に入ってくれたのは初めてですね」とダンロップ広報も驚く。今週は『ZX5』よりも操作性の高い『ZX7』を入れる可能性もあるという。

「ケプカ選手は渋めで一見怖そうなイメージですけど、現地のスタッフとのやりとりはとてもフレンドリーで前向き。ショットメーカーということもあって、松山選手と似ているところがあるかもしれません」とダンロップ広報。メジャーチャンピオンの要望を聞くことで、日本のクラブの性能が上がるのはうれしいことだが、松山の今大会3勝目には強力なライバルとなりそうだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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