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パターの大定番『ピン型』 松山英樹がずっと愛用し続ける理由は?【ギア豆知識】

米国男子ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」でアジア勢最多に並ぶツアー通算8勝目を挙げた松山英樹。今大会における松山英樹のスタッツを見ていくと、パッティングのスコアへの貢献度を示す『ストローク・ゲインド・パッティング』で“7.264“をマークし、全体1位に輝いている。松山といえば、米国男子ツアーでも屈指のショット力を誇る選手だが、今大会ではそこにパットが噛み合い、トータル23アンダーというビッグスコアにつながったわけだ。

そんな松山がキャリアを通じて、愛用するのがスコッティ・キャメロンの『ブレード型』パター、いわゆる『ピン型』と呼ばれる形状のものだ。松山はしばしば違った形状のパターを試したりもするが、最後はエースと呼ばれる『ピン型』に戻ってくる。その理由は何なのだろう?

『ピン型』といえば、今ではパターの定番として定着しているが、その原型となっているのは、クラブメーカーPINGが1966年に発売した『アンサー』パターだ。ヘッドが1枚の板のようなL字やT字といったパターが当たり前だった時代に、トゥとヒールに重量を配分したブレード形状にクランクネックを採用した『アンサー』は画期的にやさしいモデルとして人気を博した。

そのまま『アンサー』の形状はパターの定番となり、メーカー名から取って『ピン型』と呼ばれるようになったのだ。その後、ヘッドサイズを大きくして寛容性を追求した『マレット型』も開発されるようになったが、今でも『ピン型』はさまざまなメーカーから発売されている。(※『ブレード型』、『アンサー型』など呼称はメーカーによってさまざま)

では改めて、『ピン型』のメリットとは何か考えてみよう。一番は性能バランスが良く、ゴルファーの感性を生かせるパターという点が大きいだろう。

クランクネックが採用された『ピン型』は、ストローク中に適度なフェース開閉が使えて、コロがりの強さや距離感といったコントロールがしやすくなっている。さまざまな距離やラインに対応する必要があるグリーン上では、この操作性の高さが大きな武器となるわけだ。特に米国男子ツアーが開催されるコースのグリーンは、強い傾斜が複雑に入り組んでいて、芝目のクセがあることも多い。そのため、松山を始め、多くのプレーヤーが対応力のある『ピン型』を愛用しているわけだ。

そういった操作性の高さがありつつ、ヘッドのトゥとヒールに重量を配分することで芯を広げて、ミスヒットへの強さもあるのが『ピン型』の良いところ。細く長いヘッドを見ると、難しそうに感じてしまうかもしれないが、実は慣性モーメントの数値が大きく、直進性の高い形状でもあるのだ。

最近では、素材や製造技術の進化で、『ピン型』の形状を踏襲しつつ、やさしさを高めたパターも増えている。『ピン型』パターは、アイアンで言えば『マッスルバック』のように使っているとかっこよく“様になる”クラブ。これを機会に、自分に合った最高の『ピン型』を探してみてもよいかもしれない。(文・田辺直喜)

<ゴルフ情報ALBA.Net>