近年のプロのセッティングを見ると、ウェッジの組み合わせ方がとても多様化していることがわかる。かつてはアイアンセットのPWの下に52度と58度のウェッジを入れるのが定番だったが、今ではセットのPWを抜いて、ウェッジを4本入れる選手も少なくない。
たとえば、渋野日向子は9Iの下に、46度、52度、54度、58度と4本のウェッジを入れている。46度で105ヤード、52度で95ヤードと10ヤード刻みに距離を打ち分けることができ、100ヤード以内の細かな距離の打ち分けがより簡単にできるようになったという。
近年はアイアンのストロングロフト化(ロフトが立つ)が進み、中には「+2番手」を謳う飛び系モデルも増えている。そうなると、セットのPWのロフトが30度台ということもあるため、渋野のようにウェッジを追加して、飛距離の階段を整える必要が出てくる。そこで、ウェッジを追加する際のロフト選びについて、注意点を紹介しておこう。
まず、ウェッジごとのロフト差を何度にすべきかだが、これは「シャフト長」に大きく影響される。たとえば、0.25インチ刻みでウェッジの長さが変わる場合、ロフト差は6度つけておきたい。一方、すべて同じ長さのウェッジで揃えるなら、4度ピッチでもしっかり飛距離差を出すことができるだろう。
これだけ聞くと「逆ではないか?」と感じるかもしれない。長尺ドライバーのイメージもあり、シャフトを長くすれば「=飛ぶ」と考えがちだが、ウェッジの場合は少し話が違ってくる。ロフトの寝たクラブでシャフトを長くすると、ボールが高く上がり、スピン量も増えやすくなる。つまり、ボールを前に飛ばすのが難しくなるのだ。
特にウェッジは、そもそもスピンが入りやすいように設計されており、無理にフルスイングすると、かえって飛距離が落ちることもある。それだけにアイアン以上にロフト差をしっかりつけて準備しておく必要があるわけだ。
また、ウェッジの「バンス」も同時にチェックしておきたい。ソールの出っ張りを示すバンスはダフリ防止だけでなく、インパクト時のロフト角にも大きく影響する。バンスの大きいウェッジほど、インパクトでロフトが立ちやすく、その分、フルショットした時に飛距離が出しやすいのだ。たとえば、シャフト長がフローするモデルで54度と58度を入れたとしても、バンス角に差があれば、しっかり飛距離差を出すこともできるようになる。
このように、ウェッジで飛距離の打ち分けをするには、ロフト以外にもさまざまな要素が関わってくる。ウェッジを選ぶ際には、少なくとも「シャフト長」と「バンス」だけはしっかりチェックして、自分に合ったモデルを選んでほしい。(文・田辺直喜)
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