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今季15勝目を挙げた上田桃子 「低いトップから高いフォローで球をつかまえる」【モリモリさんのスイング談義】

07年の賞金女王、上田桃子は今年の「パナソニックオープンレディース」で節目のツアー通算15勝目を挙げ、メルセデス・ランキング9位、賞金ランキング10位と、ツアーを席巻する若い世代のなかでも存在感を示した。その上田に刺激を受ける形で、ともに30代の笠りつ子や菊地絵理香も優勝。2020-21年シーズンを鮮やかに彩ったベテラン、上田のスイングを、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏に解説してもらおう。

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上田プロのスイングは「みなさん、ドローはこうやって打ってください」といったお手本のようなスイングです。「しっかり球を右に打ち出してつかまえるんです」という意思がスイングに表れています。

まず、左手はボールをしっかりつかまえるフックグリップ目に握り、フラット目にオンプレーンで上がっていくバックスイングが特徴的です。そして低目のトップから高いフィニッシュへと振っていくので、スイングプレーンが自然とインサイド・アウトに。ターゲットより右へ向く円弧を形成しています。

身体の動きとしてはトップまでは下半身を逃さずに、いわゆる上下の捻転差をしっかり作ります。右足に乗ったトップポジションから、しっかり左足へ重心移動をして、左股関節に骨盤の軸を取り、ダウンスイングへと入ります。この左へ骨盤をスライドさせるバンプの動きによって、ダウンスイングで右サイドに懐ができるので、クラブはインサイドからシャローな軌道を描いてインパクトへ向かいます。ダウンスイングの途中からもう左軸で骨盤旋回しているため、大きな美しいフィニッシュとなります。

しっかりとしたバンプ動作が生み出す右サイドの懐の広さ。スライサーとは真逆の動きなので、、ボールがつかまらずに右へ曲がる人は、上田プロのスイングイメージを取り入れてみると効果的です。

アマチュアの方の場合、ドローヒッターが気になるのはチーピンのミス。上田プロはインサイドからつかまえるドローヒッターですが、基本的にスイング中はフェース面をシャット目(閉じ気味)に使い、インパクトエリアでのターン量をうまく抑えています。正面からスイングを見たときに、インパクトでの右手首のヒンジの角度が崩れずに、インパクトを迎えているのが見てとれます。

ドロー狙いなのに左に大きく曲がりすぎてしまう方は、右手首の角度がインパクト前にほどけてしまっています。対策として、上田プロのようにインパクトの右手首のヒンジの使い方をイメージして真似ると、左へのミスが抑えられます。

■解説/森守洋

もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

■上田桃子のプロフィール&成績

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