松山英樹と笹生優花のメジャー制覇に、稲見萌寧の五輪メダル獲得と、今季はいつにも増してゴルフ界が賑わった。そのほかにも毎週生まれた名勝負の中から、現場記者がここぞという試合をピックアップ。今回は、国内男子ツアーの2020年「フジサンケイクラシック」。
8カ月ぶりに再開した試合は、若手2人による清々しい優勝争いが印象的だった。コロナ禍で中止が相次ぎ、やっとトーナメントが再開したのは2020年9月の「フジサンケイクラシック」。
今平周吾、時松隆光、佐藤大平らが単独首位の星野陸也を追いかける展開。そんななか、星野が気にしていたのは猛チャージをかけてきた日大の先輩。「伸ばしているなーとずっと思っていて、やっかい…いえ、イヤだなと思っていたんですけど」。
6打差から、一騎打ちのプレーオフまで持ち込んできたのは堀川未来夢だった。「相手は星野陸也。雨の降る中でピンを狙えない状態で、彼の高い球と僕の低い球ではかなりキツいなと思っていた。2ホールを耐えれば、チャンスがあるかなと思った」。相手は、大学時代に同じ寮で過ごした後輩。相手の強みも、どうすれば自分に有利に運べるかも分かっていた。
プレーオフは18番の繰り返し。打ち上げのパー4(465ヤード)で、ピンはグリーン右奥に切られ、ショートすれば深いバンカーが待ち受ける。ピンポジションは、2ホール耐えれば切り替わる。長丁場は覚悟していた。
雨脚が強まるなか、勝負は堀川の思惑通り3ホール目に突入。そのとき、グリーンをにらむ星野にスッと傘が差し出された。傘には大きく、ブリヂストンの『B』のロゴ。自分より少し背の高い後輩を傘に入れ、キャディが来るのを2人で待った。
勝敗が決した3ホール目。ピン位置は右手前に切り替えられたが、堀川のバーディパットは入らず。7メートルのバーディパットをねじ込んだ星野が勝利をさらっていった。「獲られましたね。いい終わり方で負けました」と、スッキリとした表情で敗北を受け入れる。雨が止んだグリーンで拳を突き合わせると、笑顔で後輩の勝利を祝福した。(文・谷口愛純)
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