新型コロナウイルスの影響で2020、21年が統合された国内男女ツアーは、1年半にも及ぶシーズンを終えた。今季も多くのドラマが生まれたが、その中から選手の涙にスポットライトを当てて、ロングシーズンを振り返る。今回は国内男子ツアー「ANAオープン」で石川遼が見せた、涙のワケ。
伏線は、2試合前からあったのかもしれない。「Sansan KBCオーガスタ」、「フジサンケイクラシック」と2週連続で2位に甘んじ、もどかしい成績が続いていた。ANAオープンでは上位につけているものの、「今週は、なかなかうまくいかないことが多い」と、思うようなプレーができずにイラ立ちを見せる場面もあった。
3日目を終えて、首位とは6打差。最終日の前半はオールパー、スコアを伸ばせずにトップとは差が開いたまま。“事件”が起ったのは、17番だった。
3打目地点から直角に左ドッグレッグするパー5で、右に曲げたティショットが木の根元についた。2打目はアドレスで左足が木にかかり、ピンに向かって打とうとすればシャフトが木に当たってしまう。しかし、「折れないように打つにしても、軽く出すだけだと3打目が木越えになって狙えない」とクラブを振ったが、懸念していたとおりになった。
打った瞬間、シャフトは“く”の字に曲がって真っ二つに。ここで、気力も一気にそがれたようだった。「疲れがどっときました。どこも痛くはないんですけど…。大事なクラブを1本折っちゃったので、もうちょっと良いショットを打ちたかったですね」。
ホールアウト後、取材に対応する石川は言葉を詰まらせ、うつむいた顔には涙が浮かんだ。「ぜんぶ大事なクラブなんですけど…、 5番ウッドは信頼できるクラブだったので…」。
クラブへの愛着やこだわりが強い石川が、そのうちの1本を代償に放った1打。優勝争いから離れていたにも関わらず…、と言われればそれまでだが、それまでの数週間の流れを変えたいための1打でもあったのかもしれない。クラブを折ったこと、そして思うプレーができないことへの悔しさが、にじみ出た瞬間だった。
<ゴルフ情報ALBA.Net>
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