小祝さくらは今季5勝を挙げ、賞金ランキングは2億円超えで3位。メルセデス・ランキングでも3位に入り、大きな飛躍を遂げた。辻村明志コーチとともにコツコツと作り上げたスイングは、年々飛距離を伸ばしている。2020-21年シーズン全52試合に休まず出続けた小祝のスイングを、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏に解説してもらおう。
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小祝プロはひと言でいえばミス・オーソドックス。王道中の王道スイングです。頭を残して絶対にビハインド・ザ・ボールをキープする、松山英樹プロに似た動きをします。
アドレスは “なで肩”だから美しく見える。肩甲骨が『前へならえ』した状態で握れています。これが腕と胸郭の連動性を高める準備で、全体が同調したきれいなボディターンでバックスイングしていく。アドレスで肩甲骨が上がっていると、クラブがプレーンから外れやすいのです。
小祝プロは全身を大きく使っていくのですが、辻村コーチが丹田を意識させていると思うので、スイング軸がしっかりしています。ズレそうでズレない『お腹で打つ』スイングが見てとれる。
クラブの使い方に関しては、今の選手の中ではフェースローテーションが多め。インパクトで胸を開かずに正面でとらえる意識が強いのが松山プロと似ている点です。クラブをリリースする能力が高いから、ボールが飛ぶのだと思います。
その証拠に、インパクト後のフォローの動きを見ると、頭がしっかり右に残って、腕とクラブが伸び切っている。松山プロが『リリース王』なら、小祝プロは『リリース女王』。クラブの動きをまったく邪魔していません。スライスするアマチュアゴルファーには参考になる体の使い方です。
■解説/森守洋
もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。
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