松山英樹と笹生優花のメジャー制覇に、稲見萌寧の五輪メダル獲得と、今季はいつにも増してゴルフ界が賑わった。そのほかにも毎週生まれた名勝負の中から、現場記者がここぞという試合をピックアップ。今回は、国内男子ツアーの「中日クラウンズ」。
長いプロゴルフ人生の中で、活躍し続けるために大事な要素はいくつもある。体づくりや道具選び、年齢とともにスイングを変える必要もあるかもしれない。絶え間ない努力が重要なのは言うまでもないが、きっと同じくらい大切なのは、それを分かち合えるライバルの存在だ。
悪天候のため54ホールに短縮となった中日クラウンズ。この週、旧知の仲の二人が、3日間を同じ組でプレーした。第2ラウンドを終えて、首位に名前を並べた片山晋呉と宮本勝昌。予選ラウンドに続いて、最終日も同組になった。
2人の付き合いは、高校時代から数えて33年。水城高校と日大の同期で、初シードを獲ったのも同じ1997年。「晋呉は、(キャディの)江連さんと色々しゃべりながらやってましたけど…、考える時間が長いから」(宮本)、「まあ、彼は(この大会で)1回しか勝ってないからね」(片山)と、お互いを揶揄(やゆ)する言葉もすっかりなじみになっている。
5人が首位に並んだ最終日。片山と宮本は最終組の1つ前からのスタートだった。二人がクラブハウス前に現れたのは、スタートの約1時間前。前日に見せていた記者の前での掛け合いがウソのように、スタートティに立つまで言葉を交わすことはなかった。
「(宮本の存在は)刺激というか、ずっと一緒なんだよね」とは、片山の言葉。アマチュア時代から同世代のトップを走ってきた二人。優勝争いの緊張感を何度も一緒に味わってきたはずだ。長年、シード選手としてツアーに立ち続ける互いの存在は、当たり前でもあり、それが簡単でないことも知っている。
「50歳になってもレギュラーで」と、様々な練習法やトレーニングを試し、常に進化し続ける片山に、「とにかく試合をやりたい」と、トーナメントが空けばツアー外競技にも足を運び、50歳になる来年はシニアとレギュラーの掛け持ちを見据える宮本。根っこには、ゴルフへの貪欲さと、絶え間ない努力がある。それが分かりあえるからこその、ライバルだ。
「50歳を前に、二人で和合で優勝争いするなんて。幸せですよ」。優勝は「63」をマークした岩田寛に持っていかれたが、48歳のベテラン二人が見せた優勝争いは、多くのゴルフファンを魅了したに違いない。(文・谷口愛純)
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