渋野日向子は今シーズンのメルセデス・ランキングでは16位とトップ10には及ばなかったものの、青木翔コーチから離れて、トップを低くコンパクトにするスイングに取り組むなど話題を集めた。シーズン2勝を挙げたことで、スイング改造への批判を一蹴。今月には米国女子ツアーの最終予選会に出場して20位タイに入り、来季の出場資格を獲得した。2020-21年シーズンを鮮やかに彩った渋野のスイングを、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏に解説してもらおう。
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渋野日向子は低くフラットに上げるから、どこからでも切り返せる!【連続写真】
スイング改造により、日本人としてはもっともベン・ホーガンに近づきつつある素晴らしいスイングです。ベン・ホーガンが70年経っても『スイングのバイブル』といわれるのは、余分な動きがまったくないからなんです。
大きな特徴はなんといってもアドレスの猿腕。両ヒジ下の間隔がすごく狭い選手です。ということは上腕も締まっているわけですから、アドレスで胸郭と上腕の一体感がしっかりある。だから、スイング中にフィニッシュまでその関係性が崩れにくい。以前は少しトップでその関係性を崩していましたが、いまはスイング改造によりフラットで無駄のない素晴らしいトップポジションとなっています。
いいトップというのは、今からボールを叩ける体勢準備が整っているかどうか。渋野プロの場合はバックスイングの途中のどこから切り返しても叩ける体勢にいる。普通はプロゴルファーでも、トップで右ヒジを浮かせたり、遊びを作ってからダウンスイングに入って叩ける体勢に戻しています。渋野さんにはその動作がない。だからどこからでも切り返せるわけです。
以前のスイングといまのスイングはエネルギー的な観点から見るとあまり差はありません。特別飛ぶようになるわけではない。しかし、ゴルフゲームの観点から見ると、バックスイングでよりやることが減っているのでメリットはあります。外めに上げてからループさせてインから下ろすタイプは、何か動作を入れないと途中で切り返せません。渋野プロはどこからでも切り返せるので、ショットバリエーションが増えるし、フェースコントロール感覚も広がるという利点があると思います。
そして、スイング中に腕と身体の関係が崩れてないために、スイングの円弧はフォローサイドが大きくなります。そのため、自然とハンドファーストでボールをとらえられる。改造初期の頃は少し上体が右に倒れすぎてクラブが下から入る傾向があったのですが、今はそれもなくなり素晴らしい円弧を描いています。個人的には、持ち球のドローだけでなく、フェードも多用すればもっと良くなりそうだと思います。
その結果として人一倍大きなフィニッシュをとる。トータルとして渋野プロは、猿腕という特徴を生かした腕と身体の一体感が他のプレイヤーよりあるため、下半身の動きをあまり考えずに上体とクラブの円弧に意識を持って振れる。とてもシンプルなスイングとなります。
■解説/森守洋
もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。
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