高校卒業後、すぐに米ツアーに参戦、もがきながらも3年間戦ってきた山口すず夏が今年、日本のプロテストを受験した。だが、結果は最終までコマを進めたものの3打足りず不合格に。古江彩佳、西村優菜ら同級生とは違う道を歩んできた21歳は、今後どのようなプランを描いているのだろうか。「神奈川レディースオープン」の会場で話を聞いた。
2015年に日本人として史上最年少となる14歳で「全米女子オープン」に出場するなどスーパーアマとして名を馳せてきた山口。高校卒業後の進路としては異例となる日本のプロテストを受けない道を選んだ。1年後の東京五輪で金メダルを―。強い意志を持って18年にアメリカのQスクール(予選会)を受験して、36位となりツアーカードを獲得。翌19年に世界最高峰の舞台に足を踏み入れた。
だが、ここからが厳しい戦いの始まりだった。オーストラリアで行われたプロ初戦「ISPSハンダ・ヴィック・オープン」こそ上位での戦いを経験できたものの、その後は予選通過すらままならず、決勝に進出しても下位という試合が続いた。プロ1年目は19試合出場で賞金ランク150位。この年から秋に移った日本のプロテストを受験する道もあったが、米ツアーでの戦いを選択、河本結とともに受けた最終予選会で16位タイに入って2020年も職場を得る。
2年目も同じく豪州から始動して39位タイ。だが、ここから歯車が大きく狂う。全世界を襲った新型コロナウイルスの影響により、米国女子ツアーは中断。山口も帰国を余儀なくされた。7月に再開されたが、その後も上位には入れず。一方で視界に入れていた日本のプロテストは開催されず延期に。選択肢に入れられず、同じくコロナ禍の影響で予選会が開催されなかった米ツアーに3年目も身を置くことに。しかし、今年も満足の行く結果は得られず日本のプロテストを受験する決断を下す。
第2次予選で2位に5打差をつけて1位で通過するなど、下馬評通りのスコアで最終へと駒を進めたプロテスト。「ショットも良かったし、自信がついた状態で臨めました」と調子も悪くなかった。だが、最終では何かがおかしい。「ちょっとしたことから崩れていってしまった」と振り返る。
「初日2アンダーで前半を終えて、今までなら“このまま伸ばしていこう”と思うところを10番でボギーを叩いたことで“セーブしよう”となってしまいました。4日間通してアウトでは3アンダーなのにインで10オーバー。すべてアウトスタートでしたから後半に落とした。インコースに苦手意識があったわけではないんです。自分で“イーブンでいいや”という考え方になってしまった。プレッシャーがかかっていたのかな」
体調が優れなかったことも加わって、らしさが失われた山口は一日も合格圏内の20位以内に入れず最終的にトータル7アンダーの30位タイ。日本女子プロゴルフ協会の正会員となることはできず、来季の日本ツアーへの参戦はかなり限定的となった。
現状、来シーズンに日本で出られる可能性があるのは「日本女子オープン」のみ。予選会を勝ち抜けば出場が可能だ。だが、アマチュア資格を破棄しており、世界ランキングが300位以内ではない山口がほかの試合で出場権を得るのはかなり厳しい状況と言わざるを得ない。そういったことも加味して、「女子オープンで通って上位に行くのが目標です。プロテストはそれからになると思う」と来季もテストを受けることを念頭に置いている。
一方で、再び米で腕を磨くという選択肢もある。下部ツアーにあたるシメトラツアーの出場資格を保持しており、今年の2次予選会で落ちた人たちよりは上のカテゴリだ。協会からは「今年だったらリシャッフルまで出られるよ」とは言われているが、世界の情勢もあり、すぐに「渡米します」というわけにはいかない。「チャンスがあるなら試合に出たいですが、来年も出られるか分からない。行くだけでも大変なのに、もし出られなかったら…」。
この3年間米国で揉まれて成長している自負はある。強い風のなかでの経験が多かったことで、対応する引き出しも増えた。今年は日本での森守洋氏に加えて、「すぐに見てもらえるように」と米在住のコーチもつけて、球筋をドローからフェードにしてショットへの手ごたえもつかめている。だからこそ、それらをブラッシュアップするための試合は喉から手が出るほど欲しい。しかし、費用はもちろん、コロナ禍の影響で自主隔離もある。行けばある程度の期間は滞在することとなる。その状況で行くだけの価値があるのか。判断はすぐには下せない。
プロテストの後はひたすら練習の日々。「試合は…これが初めてですね」とこの日は久々の実践だった。プロテストまであと11か月。再び輝くために―。先人のいない道なき道を切り開いていく。
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