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日本シリーズで男子ツアーの魅力を堪能しました【原田香里のゴルフ未来会議】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。師走に入り、なんとなく気ぜわしい気持ちになりますね。そんなときは、ゴルフ場でのびのびするのもいいものです。

ゴルフ場は、自分でプレーするのももちろん楽しいですが、プロの試合を見に行くという楽しみ方もあります。私も現役時代は自分の試合が忙しくて観戦経験はほとんどなかったのですが、先日お話しした「ZOZOチャンピオンシップ」に続いて、今度は「ゴルフ日本シリーズJTカップ」観戦の機会に恵まれました。

驚いたのは、若い女性ギャラリーが想像以上に多かったことです。会場の東京よみうりCCは、その名の通り東京都にあり、電車の駅からギャラリーバスが出ています。アクセスが良くて、今季、好調な選手ばかりの最終戦とあって、人数制限はありましたがたくさんのお客さんが観戦を楽しんでいました。

お目当てになっている若手の選手も何人かいて、中でも片岡尚之選手のファンが多かったように見受けられました。まだまだ人気が出る気がします。

男子の試合には、女子とはまた違う楽しさがあります。筋力、体力では、やはり女子はかないません。技術の引き出しがたくさんある、と言ったらわかっていただけるでしょうか。特にすごいのはパッティングです。男子ツアーというとどうしても“飛ばし”など大きいものに目が行きがちですが、ぜひ皆さんに見ていただきたいのはパッティングの技術です。

カップのどこからボールを入れるかをきちんと想定して、自分でラインを作るパッティング。バーディパットもそうですが、難しいパーパットをしっかり決める技には目を見張るものがありました。

東京よみうりCCは、2008年まで女子ツアーの「ワールドレディス」の舞台でもあったため、私は何度もプレーしています。セッティングはもちろん違いますが。それでもコースはよく知っているのです。ですから、コースマネジメントも、技術も違う男子がそのコースをどう攻略するかを見るのは、とても楽しく、興味深いものでした。

インパクトの音も違うし、弾道も違う。ドローを打つのか、フェードを打つのかが、はっきり見えるのも面白かったです。球を操る技術も高く、アイアンショット、アプローチの引き出しも多い。みなさんには女子ツアーにもちろん足を運んでほしいですが、男子ツアーもぜひ、ご覧になることをお勧めします。

練習場では、片手打ちの練習をする選手が何人もいるのが目立ちました。片山晋呉選手などは、朝から様々な練習器具を持ち込み、まんべんなく練習に集中しています。そうかと思えば、私が高校時代にやっていたような、ゴムベルトで脇を占めて球を打つ練習をしている香妻陣一朗選手などもいました。

コーチがついているにしても、自分で考えて工夫しながらゴルフに取り組む姿が、どの選手からも伝わってきました。何度も基本に立ち返り、様々な方法で求める技術を身に着けるという姿勢が伝わってきたのです。ゴムベルトでの練習など、久しぶりにやってみたい気持ちになったものです。

もう一つ、プレーのテンポが速いのも魅力です。ギャラリーをしていてついて歩くのが大変なほど、小気味いいテンポでプレーしています。プレーそのものだけでなく、ジャッジメントが早いのは、常に自分の頭でゲームを組み立てているからでしょう。女子ツアーでは、キャディと相談する時間が長すぎる選手が、残念ながら少なくありません。私も現役時代、プレーが遅いと言われていたので大きなことは言えませんが、ここは女子が見習うべきところだと正直、感じました。

ただ、残念なのは、選手たちがそう言った努力をして、素晴らしいプレーをしているという部分が今一つ、ファンに伝わっていないかな、ということです。試合数が少ないのでプレーを見せる機会があまりないこと。そのせいもあってメディアに取り上げられる機会が減ってしまっていること。そして、選手側も、ファンへのアピールが少なめで、淡々とゴルフをしている印象でした。

もちろん、気持ちのアップダウンが少なく、淡々とゴルフをするスタイルが悪いというのではありません。けれども、要所要所でわかりやすいアピールをすることも、プロの試合では時には必要なのではないでしょうか。今のように試合を離れてみて改めて気が付いたこともあるのですが、プロが思っている以上に、ファンはプロの細かいところを見ています。見ていてくれてありがとう、という気持ちを表に出してくれると喜んでもくれるのです。プロに親しみがわくからかもしれません。

真剣に集中してゴルフをすることと、ギャラリーへのアピールは決して相反するものではないはずです。私も現役時代はプレーに集中するあまり“怖い顔“でプレーしていると言われたこともあります。応援には感謝しつつも、アピールの仕方がわからない気持ちはよくわかります。なにもシニアツアーのように、試合中にギャラリーと話すなどということを求めているわけではありません。ただ、感謝の気持ちを表に出すことは必要なのではないでしょうか。

女子にも同じことが言えますが、コロナ禍で試合が少なくなったり、無観客が多かったりしたことで、そのことはとても感じたはずです。“戻ってきてくれた”ファンのみなさんに、自分たちのプレーをアピールする。長い目で見ると、ファンを増やすにはこれに尽きる気がします。

男子ツアー観戦は本当に楽しく、みなさんが得られるものもたくさんあります。女子ツアー同様、男子の試合も応援したい気持ちは、私の中でも強くなりました。来年は今年より観戦できる試合が増えることを祈りつつ、皆さんにもぜひ、実際にコースで試合を見ていただく機会があればいいな、と思います。どうぞよろしくお願いいたします。

原田香里(はらだ・かおり)

1966年10月27日生まれ、山口県出身。11歳からゴルフを始めると、名門・日大ゴルフ部に進み腕を磨いた。89年のプロテストに合格しプロ転向。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。98年には賞金ランキングでも2位に入るなど通算7勝の活躍。一線を離れてからは日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力。今年の3月まで理事を務めていた。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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