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稲見萌寧が重圧のなかで賞金女王戴冠 「うれしいけど、やっと終わったのが一番」

<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 最終日◇28日◇宮崎カントリークラブ(宮崎県)◇6543ヤード・パー72>

2020年と21年が統合された異例となるロングシーズンの賞金女王は、稲見萌寧が獲得した。会見場で稲見は「なんとか賞金女王を獲れたのはうれしいんですけど、一番はやりきった感、やっと終わったなという感じが一番でした」と息をついた。

単独13位以内に入れば、賞金女王を争う古江が単独2位に入っても逆転されない。最終日を15位タイからスタートした稲見は、ホールアウト時点では3人が並ぶ11位タイ。「自分の最低限の仕事をした」と最終組で回る古江の結果を待った。クラブハウスの前で「ずっとそわそわと」モニターで戦況を確認していた稲見。古江の優勝が消えて女王戴冠を決めると、東京五輪でも今大会でもキャディを務めた奥嶋誠昭コーチとガッチリ手を握り、「泣くつもりはなかったんですけど、先に泣かれてもらい泣きしました」と二人で涙を流して喜んだ。

賞金女王への戦いはプレッシャーとの闘いでもあった。今週は試合自体の成績が悪くても毎日会見に呼ばれる。投げかけられる質問によって「知りたくないことを知っちゃうので、プレッシャーもあった」という稲見。しかし、「プレッシャーをどんどんかけてもらって、そこを乗り越えようと。オリンピックでそこを乗り越えたからこそ、賞金女王になれたと思う」とメダルへのプレッシャーに打ち勝ったことで、精神的にもパワーアップした。

「一番の目標は変わらず永久シードです」。賞金女王を戴冠した稲見が次の目標に掲げるのは、ツアー通算30勝を挙げた選手に与えられる永久シード。日本女子ツアーにおいては、樋口久子や岡本綾子、不動裕理など一時代を築いた6人しか達成していない。今季9勝を加えた稲見の通算勝利数は『10』。あと20勝の道のりとなる。

世界を見れば、米女子ツアー通算72勝を挙げているアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)らレジェンドたちが高みにいるが、「アメリカにフル参戦する予定はまったくない」ときっぱり。日本ツアー通算50勝の不動裕理が目標だ。「小学生のとき、周りはけっこう賞金女王になるのが夢だったりしたけど、私は最初から永久シードを獲りたかった。(賞金女王を)意識したのは、今年に入ってからですね」と話す。目指す最強のプロゴルファーへは「もっともっと最強のプロゴルファーになれるように、すべてを完璧にしていきたいと思います」。

長いシーズンで何度もくじけそうになりながら気持ちを強く保てたのは、父親の了さんが「誰よりもやっている」という練習量にある。「心が折れても折れなくても、負けても勝ってもずっと変わらず練習している。そのルーティンはどんなときでも役に立つかなと思います」と本人も自信を持つ。

最後は「いろんなことがありましたけど、2年間ありがとうございました。毎日プレッシャーをかけていただいてありがとうございました。応えられて良かったです」と笑顔で会見場を後にした。

<ゴルフ情報ALBA.Net>