<ZOZOチャンピオンシップ 事前情報◇19日◇アコーディア・ゴルフ 習志野CC(千葉県)◇7041ヤード・パー70>
9月の国内男子ツアー「パナソニックオープン」でアマチュア優勝を果たした中島啓太(日体大3年)が、大会のスポンサー推薦で出場する米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」練習日に、夢の時間を過ごした。
指定練習日の火曜日、そわそわしながら10番ティで待つ中島の姿があった。すでに朝からアウトコースを一人でラウンド。その後一度クラブハウスに戻り、再びコースに姿を見せると、練習グリーンで球を転がし、今週キャディを務める石川遼の弟・航(日体大4年)とともに10番ティで素振りを繰り返していた。すると、そこに昨年の「全米プロゴルフ選手権」、そして今年の「全英オープン」を制したコリン・モリカワ(米国)がやってきた。
「チャンスはあるかも知れないよ」とは聞いていたが、実際にモリカワとのハーフラウンドが正式に決まったのは、一度クラブハウスに戻ったときだった。中島が使うクラブメーカーのテーラーメイドと契約を結ぶスタッフプレーヤーのモリカワだが、ほかでもないテーラーメイドの計らいでラウンドが実現した。
現地時間の日曜日に米国ネバダ州の「ザ・CJカップ」に出場していたモリカワら米ツアーメンバーがチャーター機で日本に到着したのは、日本時間の火曜日午前3時ごろ。その後は検査などもあってホテルに着いたのは朝。その後、モリカワもコース入り。昼食をとっているところで二人は対面。「(午後)1時半にスタートしよう」と相成った。
中島は2年前に開催された本大会で、モリカワのプレーを間近で見て驚いた。「タイガー・ウッズ選手が好きでゴルフを始めましたが、そのときからコリン選手です」と、目標に定めた。ギャラリーとしてついたモリカワの組で印象的だったのが、「3番のパー3で打ったフェードを見て鳥肌が立った」、と体格もさほど変わらないコリンのプレースタイルに魅せられた。
「持ち球は同じフェードボールなんですが、すべての精度が比べものにならない」と、尊敬の念ばかりが浮かぶ。そんな目標とする選手とのプレーで感じたことは、「人間性も球筋も、ぜんぶ足りない」。世界アマチュアランキング1位に立ち、今大会も唯一のアマチュア選手として出場する中島にとって、モリカワのゴルフは自身が目指す究極の姿だった。
互いの練習もあって、終始会話を交わしながらというわけではなかったが、「(自分にとって)はじめてのPGAツアーという話をしたら、『やっとスタートラインに立てたね。おめでとう』と言ってくれました」。大学卒業後、すぐにでも海外ツアー進出をにらむ中島にとって、これ以上ない激励の言葉。「いいスタートを切って、世界にどんどん行きたいです」と、高揚感が湧き出る半日となった。
世界アマチュアランキング1位に与えられる「マーク・マコーマック賞」を受賞し、その資格で来年の全英オープン出場が決まっている。「全英オープンはいちばん好きな試合です。(モリカワに)『来年の全英オープン、楽しみにしているよ』と言われました」とプレーだけでなく、その人柄、人間性、コメントの一つ一つ、どれをとっても目標であるという認識が確かなものになった。
「幸せな楽しい時間でした」と振り返ったが、木曜から始まる本戦では一人のプレーヤーとして、同じフィールドで戦う者同士。「いまはワクワクしています。緊張感を楽しみながら、4日間プレーしたいです」と気持ちの高ぶりを感じながら、米ツアーデビューは、刻一刻と迫っている。
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