6月24日(木)に開幕した2021年の国内女子ツアー第17戦「アース・モンダミンカップ」。賞金総額3億円、優勝賞金5400万円という賞金もさることながら、今週の試合結果で東京五輪代表が決まるという意味でも大事な争いの展望を、青木瀬令奈のコーチを務める大西翔太氏が語る。
____________________
■去年までとは違うラフ 初日からロストボールも
去年までとのコースの一番の違いとして大西氏が挙げたのがラフの長さ。「去年まではフェアウェイと同じくらいの長さだったのが、今年は20センチくらいあります。そのため入れたらバーディは奪えません。7アンダーを出した菊地絵理香さんのキャディさんも“きょうは全くラフに入らなかった”と言っていました」。その長さは「ボールが見えなくなるほど」で初日からロストボールとなった選手も何人もいたという。
「ただ、フェアウェイに置いておけば伸ばしていけます。例年のように飛ばし屋が有利というよりは正確性がとても大事です。そこが去年までと違う戦いになるところでしょうね」
■五輪争いで古江が有利な理由
東京五輪代表を争うのは稲見萌寧と古江彩佳、そして渋野日向子。渋野は海外女子メジャー「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」に出場し、稲見と古江は今大会をプレーする。まずはここの戦いで勝ち残り、渋野の結果を待つ、ということになる。
初日を終えて上位でフィニッシュしたのは5アンダー・4位タイの古江。大西氏もこの結果にうなずく。
「先週、同じ組で見させてもらったのですが、フェアウェイを外さないショットを打っていました。ラフに入れない正確さは今週一番必要なこと。また、今週は“優勝しかないと思っています”とコメントしているように、いい意味で覚悟が決まっているように見えました。プレースタイル、メンタル面を考えても古江さんが若干有利かなと思っています」
■稲見萌寧に必要なのは鈍感さ 吹っ切れればいい勝負に
一方の稲見は1オーバーの76位タイ。やや出遅れるかたちとなった。稲見はここ1カ月ほどショットの不調に苦しんでいるが、「稲見さんが気持ち悪いと言っている部分も、そこまで悪くは見えませんでした」と大西氏はいう。逆に気になるのはメンタル面だ。
「東京五輪のことは気にしない、と言っていますが、何度も聞かれればやはり頭に残ってしまうものです。そういった部分も含めて、いい意味で鈍感になって吹っ切れたらいつもの強い稲見さんが戻ってくると思います。自信を持って、パターも打ち切れればいい勝負になるのではないでしょうか」
■上位勢のなかでも、優勝の仕方を分かってきたこの選手に期待
初日に上位につけたなかで大西氏が注目したのが、3アンダー・11位タイの木村彩子。ここ2大会の最終日が、その根拠になっている。
「サントリーでは青木瀬令奈さん、ニチレイでは申ジエさんと、優勝した人と一緒の組でプレーしているんですね。“こういう風にすればチャンスを作れるんだ”と見て学んだと思います。もちろん、それだけいい順位でプレーしているということでもありますし、フェアウェイキープ率が現在3位の木村さんは、このコースに非常に合っていると思います。初優勝に期待したいですね」
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。
<ゴルフ情報ALBA.Net>