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新型コロナによって続く『大会中止』…その影響は? 女子ツアー開催コースの場合

きょう13日(金)は、国内女子ツアーの今季第2戦「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」の開幕日になるはずだった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い政府から発表された『大規模なスポーツや文化イベントの自粛要請』に応じる形で、今月2日、主催者らが中止を発表。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」と同じ決断がくだされたことで、いまだ女子ツアーは1試合はおろか、1ラウンドも行われていない状況に陥っている。

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1つの大会を中止にするということは、選手や、観戦を楽しみにしていたギャラリーのみならず、主催者やスポンサー、大会運営会社など多方面に大きな影響を及ぼす。そして、もちろん開催コースもそのなかの1つだ。そこで、実際どのような影響が出たのか、今週の開催地になる予定だった高知県の土佐カントリークラブに聞いた。

本来であれば女子プロたちによる熱戦が繰り広げられているはずのコースだが、現在そこでは一般客がクラブを振り、各々のゴルフに興じる光景が広がっている。トーナメント開催のため、今週は“貸し切り”になる予定だったが、中止により使用が白紙に。そのため、大会本戦前にあたるはずだった9日(月)〜11日(水)はコースをクローズしたものの、12日(木)からは通常営業を行っている。

一見、日常を取り戻したかのようにも見えるが、クラブハウス内ではチケット払い戻しの問い合わせ対応などに追われる毎日だ。開幕戦の中止が決定したあたりから、土佐カントリークラブでも電話の鳴る回数が増え始めたという。

業務面でも中止の影響は色濃いが、“収入”という観点でもやはりそれは大きい。チケット払い戻しの問い合わせ先をみると同コースが請け負っているのだが、今大会でいうとチケット収入はコースが得ることになっていた。総務部担当者は、「今払い戻しの作業を進めていますが、当然チケット収入はなくなりました。中止にはなりましたが、(大会開催に向けた)コースの手入れや印刷物作成など、支払いをすでに済ませているものも多く、今年に関していうと赤字ですね」と、苦悩を明かした。

すでに販売されていた前売り券に加え、当初は出場を見送る予定だった渋野日向子の推薦出場が急きょ決まったこともあり、通常通り開催に至っていれば当日券の売り上げにも好影響を見込めたはず。中止前から無観客試合になることも予想されてはいたが、「ウン千万円」という利益がフイになった。「影響はもちろん大きいですね」。収益の柱の1つになったであろうビッグイベントが失われた“痛み”は想像に難くない。

もちろん新型コロナウイルスは、通常営業にも大きくかかわってくる。個人客については、「ほぼ昨年と横ばい」と現在のところ影響を感じさせないが、企業のコンペなど、大口の予約にキャンセルが相次いでいるという。「県外からコンペに来るお客様が2割程いたのですが、それも軒並みキャンセルという状態です。そのため売り上げも20%から25%くらいは減少する見込みとなっています。先が見えませんが、最低でも4月いっぱいは、このような状況が続くのではないでしょうか」。

他のスポーツを見ると、大相撲3月場所は開催したものの、無観客という措置をとった。プロ野球も3月20日の開幕を延期し、4月中の開催を目指す方針を発表したばかりだ。春のセンバツ高校野球は史上初の中止。世界を見ても、次々と中止・延期する競技のニュースが続く。もちろん国内女子ツアーも、今後を楽観視できる状況ではない。

コースでは上記以外でも、食事の提供方法に規制が入り、ビュッフェサービスを一時ストップするなどの影響も受けている。細かい部分への配慮に神経をすり減らす日々が、まだしばらく続きそうだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>