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スケジュール急変でリランキングにも影響? 香妻琴乃は2試合の主催者推薦予定が中止に

3月2日(月)、すでに発表されていた「ダイキンオーキッドレディス」に続き国内女子ツアー第2戦の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」も新型コロナウイルス感染拡大を受け中止が決定した。

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今季3戦目の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」(3月20〜22日を予定)以降の大会についても、「(各主催者と)継続して協議を重ねていきたい」と日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が話すように、先行きが不透明な状況。一刻も早い事態の収束を願うばかりだが、この中止の影響は報道でも繰り返し取りあげられている渋野日向子、鈴木愛らの東京五輪出場権争いだけでなく、リランキングにも影響してきそうだ。

特に厳しくなりそうなのは、QTランキング的に前半戦の全試合出場権がなく、中止となった2試合で主催者推薦での出場を予定していた選手たち。主催者推薦は、本来出場資格を持たない選手へ主催者が選考した選手に出場権を付与する制度で、この規定での出場上限は8試合となっている。今回の中止に関してJLPGAは「規定により、大会が中止となった場合は主催者推薦の上限となる8試合には含まれません」としており、出場できる試合数には含まれない。だが、推薦出場が決まっていた試合が中止となる影響は少なくなさそうだ。

まず第1回リランキングが、今季からより後ろにずれ込むということ。18年から始まったこの制度は昨年まで6月末、9月末と2回あったが、今季は7月末、9月末。1回目から2回目の期間が短くなり、1回目で出場権を得ていないと2回目で逆転するのはより厳しくなった。つまり、今まで以上に1回目までに“失敗”ができなくなったのだ。だとすれば、1試合でも多く出て賞金を稼ぐチャンスを増やしたいところだろう。だが、中止によってその1試合が減ることになる。

もちろん、上限は変わらないのだから別の試合を含めて主催者推薦で8試合に出場することは可能だが、推薦での出場を得ることはそう簡単なことではない。何よりも『リランキングで後半戦に出場する』ことだけを見れば、「大東建託・いい部屋ネットレディス」までに推薦出場する必要がある。多くの選手がこの期間での推薦を狙ってくるだろうから容易ではないことは明白だ。

また、その年のシーズン1試合目、特に初日のティショットはプロでも緊張や不安があるものだ。それを早い段階で経験できていれば試合勘という意味で大きなアドバンテージとなるし、クラブやスイングの調整という意味でも開幕戦、2戦目と早い段階で試合に出場できるメリットは少なくない。特にシード選手とは違い、前半戦という限られた期間内に結果を出さなければいけない選手にとって、この2試合は単なる37分の1ではなかったはずだ。

例えば、今季QTランキング55位で出場する香妻琴乃は開幕の2試合とも主催者推薦での出場権を得ていた。ダイキンなどQT組の出場が厳しそうな試合の主催者推薦をもらい、前半戦の出場試合を増やしてリランキングで上位に入り、後半戦出場という青写真を描いていたことだろう。地元・鹿児島で行われる3戦目のTポイント×ENEOSゴルフトーナメントの主催者推薦も得ているがこちらも開催するかどうかは未定。事態が長引けば大幅にスケジュールを変更せざるを得ない。

その香妻は2試合の中止について、「こういう状況なのでしょうがない部分はあると思います。日本中のイベントも中止になっているので。沖縄でも感染者がいたので多少心配していた部分はありましたが、やっぱり試合はやりたかったです。試合が開催されるまでしっかり練習します」とコメントした。状況を考えればこれ以上のコメントをしようがないが、その中でも本音が少し漏れた。

今回はリランキングに焦点を当てたが、中止となった「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」は過去5年の優勝者のうち3人がその年の賞金女王となるなど女王レースを占う意味でも重要な戦いだった。思いがけない事態となっている今季の女子ツアー。選手たちは臨機応変な対応が求められそうだ。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>