独自の視点でPGAツアープロのスイングを研究する植竹希望。2度の手術を経験したことで、選手寿命について考えるようになった。今、目指しているのは、300ヤードを記録するザンダー・シャウフェレのように体に負担をかけないスイングだ。その真相をじっくりと聞いた。
【連続写真】胸を張らず、肋骨を引くように構える シャウフェレの300y脱力スイング
◇ ◇ ◇ジュニア時代から世界のトッププレーヤーのスイングを研究していますが、今、参考にしているのはザンダー・シャウフェレです。PGAツアー通算10勝を挙げ、2024年には全米プロと全英オープンを制覇したプレーヤーです。見習いたいのは、体に負担をかけずにスイングする点です。リラックスしてアドレスしているのはもちろん、スイング中も体のどこかに力を入れて、無理に回転を止めるようなことはありません。自然な流れの中で体重移動を行い、効率的にボールにエネルギーを伝えています。彼のスイングは、タイガーもマキロイも「ツアーで一番しなやかに振っている」と絶賛しているんですよ。終始リラックスしているように見えるのは、上半身に力感がないからです。アドレスではグリッププレッシャーを緩めてヒジを張らず、肋骨の側面から肩甲骨につながる前鋸筋(ぜんきょきん)を締めています。すると、ワキが自然に締まり、肩周りの筋肉の力感が取れて脱力できます。その力感はスイング中も変わりません。腕の力に頼らず、体幹主導で振るスイングは私の理想形です。胸を張らず、肋骨を引くように構えると、肩を落とした脱力アドレスに近づけると思います。皆さんも「腕や肩の力を抜きなさい」と言われたことがあるかもしれませんが、脱力するにも筋力が必要だということをご存じですか? 実は、腕や肩をリラックスさせるには、前鋸筋の働きが必要なんです。前鋸筋は、腕立て伏せで床を押す際に使うインナーマッスルで、腕や肩の��土台?のような役割を果たします。この筋肉が弱いと、腕や肩の力をうまく抜くことができなくなるんです。私は0〜15歳まで水泳をやっていた影響なのか、体の前面や側面に比べて背面の筋肉が発達しているタイプです。アドレスでは肩を落として腕を脱力できるのですが、スイング中は前鋸筋を意識できず、腕に力が入ってしまいます。バランス良く筋肉を整えるため、現在は同世代の畑岡奈紗ちゃんや��橋彩華ちゃんも通っているジムでトレーニングをしています。また、打撃練習では目の前にスマホを置き、シャウフェレの動画を流しながら、力感やリズム、テンポをイメージしてボールを打っているんです。私がシャウフェレのスイングに憧れ始めたのは5年前のことです。しかし、「あんな風にしなやかに振れたらいいな」とは思っていたものの、��力感ゼロ?で振るイメージがまったく湧かず、真似できないと諦めていたんです。その後、私は2024年に右股関節、2025年に右手首を手術しました。2度の手術を経験したことで、「少しでも長くプレーしたい」と考えるようになり、シャウフェレのように体に負担をかけないスイングをマスターしようと決意しました。昨年10月から本格的に取り組み、現段階での完成度は10%です。体やスイングを根本から変えるには、かなりの時間が必要です。くじけそうになることもありますが、そんなときに刺激になるのが先輩たちの活躍です。今シーズンは笠りつ子さんが5年ぶり、男子ツアーでは藤本佳則さんが12年ぶりに復活優勝を挙げました。先は長いですが、先輩たちのように一日でも長くツアープロとして活躍するため、理想を追求し続けます。■植竹希望うえたけ・のぞみ/1998年生まれ、東京都出身。独学でスイングを研究する、ツアー屈指の��スイングオタク?。ジュニア時代にアダム・スコットから「オンリーワンにならないと強くなれない」と言われたことをきっかけに、独学でスイングを学ぶようになった。2022年「KKT杯バンテリンレディス」でツアー初優勝。サーフビバレッジ所属。
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