高齢者の運転による信じられないような事故のニュースを耳にするようになった昨今。運転免許証の返納というタイミングは、ゴルフをやめてしまう大きな理由になるようだ。そんなゴルフのやめ時について、四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が語る。
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「レジェンドさん。引退しちゃったんです」。一瞬、周囲の風景から色がなくなった気がしました。強いショックを受けたからです。試打撮影などでお世話になっているコースで、土曜日のトップスタートは毎週僕で、日曜日のトップスタートを守っているのがレジェンドさんなのです。94歳なのに都内から片道約2時間を自分で運転して毎週コースに来るだけでもリスペクトできますが、とにかく、プレーが速く、エージシュートは当たり前という淡々としている姿に敬意を込めてレジェンドさんと僕は呼んでいます。「何年か前にも、夏に引退したのに、秋から復活したことがありますから、まだ期待はしていますけど」。コースのスタッフは、ショックを受けてボーッとした僕を励ますように言いましたが、今回の引退は、運転が危なくなってきたので免許返納に伴って、ということらしいと聞けば、本当に引退したのだと諦める気持ちになります。僕もヒザの手術の延期を繰り返して、杖を使って生活していますが、乗用カートであればゴルフは楽々プレーできています。何歳までゴルフができるのか? レジェンドさんは、未来を明るく照らす地図でした。90代でもゴルフができるとすれば、あと30年は楽しめる、と思うと手放しで嬉しくなり、励みになりました。一昔前まで、ゴルフをやめるのは18ホールを歩けなくなったら、という考え方がセオリーでした。しかし、最近では、歩けなくなってもカートでゴルフをすれば良い、という考え方が主流になった感があります。社交術としてゴルフを覚えた昭和からのゴルファーは、仕事を定年退職して、ゴルフ仲間が徐々にゴルフをやめていき、フェードアウトするように60代半ばで引退という人が多かったのです。70代でもゴルフをしていると感心されて、80代だと仙人のようだと崇められたのが昭和から平成時代のゴルフ引退と年代の関係だったようです。高齢者が増えているからこそ、健康で仲間さえいれば60代で引退する人は少数派になりつつあるのが令和のゴルフシーンです。70代でエージシュートを目標にしている強者が増えました。80代でも同様で、僕の父も80代後半ですが、まだまだ元気にゴルフをしています。しかし、90代になるとゴルフをしている人の数はガクッと減ります。レジェンドさんの話を出すまでもなく、運転免許証の返納というタイミングと強く結びついているようです。誰にも迷惑をかけずにできることがゴルファーとしての最低限の資格なのです。免許がなければ、クルマがなければ、足がないゴルファーは年齢と関係なく不自由です。もちろん、色々な方法で免許返納しても迷惑をかけずに楽しめる人もいるはずですが、かなりの少数派です。結論として、免許返納まではゴルフを楽しめます、ということが令和の正解なのです。いつ卒業するかは自由ですが、一つの目安として、心に留めたいと思います。気力と工夫でいつまでもゴルフを続けている先輩ゴルファーは存在します。免許を返納しても、個人タクシーと交渉してゴルフ場への足を確保して100歳でもプレーすることを目標にしている90代のゴルファーがいる、とタクシーの運転手から聞きました。自分も負けていられない、と考えた人たちと一緒に100歳でもゴルフを目指そうと思います。篠原嗣典ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」。
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