「ゴルフ5レディス」で待望のツアー初優勝を果たした福田萌維。首位で出た最終日、17番で打ったラフからの2打目がペナルティエリアに入るトラブルに見舞われダブルボギーを叩いたが、「あまり落ち込まずに『まだ足りない部分があるな』と割り切れました」と冷静さを失わなかった。追いつかれたプレーオフを粘り強く制し「まさか優勝できるとは思っていなかった。まだちょっと信じられない部分が多いです」と笑みを見せた。
大会前は「先週からショットの調子が悪くて」と不安を抱え、いつもハーフで終えるところ、火・水曜日に人生初の「2日連続18ホール」の練習ラウンドを敢行。『どういう状況でどういうミスが出るか』の実戦データをコースでキャディと集める準備を重ねて大会に臨んだ。「苦労して勝った」と見られることには「全然。まだまだ苦労し足りない」と19才離れした逞しさと“貪欲に学ぶ姿勢”を見せる。その「分析力」の一端は、今季からクラブ契約フリーになって選んだ14本にも色濃く現れ、優勝インタビューでは「使い方」のイメージすら丁寧に説明してくれた。 ■小学生の「野球経験」でハードスペックも平気 今季の福田のドライバーはタイトリスト『GTS2 9.0°』で「クラブはけっこう全部信用していて、ドライバーももちろんそう」。世界中のツアーで信頼されるヘッドに、シャフトは「中学生時代と全く一緒」の『TOUR AD UB-6S』を装着。女子選手でもハードスペックを操れる理由は小学生の「野球経験」にあり、「やっぱり飛距離だったり、スイングの速さは野球のバッティングから来ていると思います」。
ゴルフスイングでは「考えて打つ時間を短くし、リズムよくシンプルに打つ」ことを大切にする他、「猫背になるとスイングに影響が出るため、歩く時は自分の目線より上か、キャディの目線に合わせる」と常に姿勢も意識。重圧がかかる正規の18番では「合わしに行くと余計に曲がるので思いっきり振る。心拍数が上がってもリズムだけを意識した」。構えてから打つまでが早い理由は、尊敬する日章学園高校の顧問や、菅楓華・荒木優奈といった先輩の身近なお手本に学んだことも大きい。 ■3Wは絶対譲れない『パラダイムAI SMOKE MAX』 “ほぼタイトリスト”の中で、唯一異彩を放つのが3Wのキャロウェイ『PARADYM Ai SMOKE MAX』だ。「(販売終了でスペアの予備は)ないです。けっこうピンチ。3Wが一番顔もお気に入りだし、自分の持ち味になっているなと。流れでタイトリストの3Wも打ったほうがいいのかなと思ったけど、あそこだけは手放せなくて。もう多分ゴルフ辞めるまで使います」。
プロになってすぐ自ら購入した1本に思い入れは強く、後継モデルへの移行や他ブランドへの変更も考えていない。なお、かつては5Wを入れていた時期もあったが「イマイチしっくり来なくて」とUT(GT2 18,21度)2本へシフト。「アイアンと同じ流れで考えられるので楽になった」と、グリーンで止めるためのセッティングへと進化させた。 ■中学時代に“原点回帰”したが、寄せは「58度1本主義」に ウッドよりもアイアン好きで女子選手には珍しく「特にロングアイアンが好き」と言う福田。今年からクラブ契約フリーになる決断をした理由が、中学時代に使ったタイトリストへの“原点回帰”。「やっぱり小さいときの体の動きは、本当に教えられてないままの(自然な)スイングなので。中学のクラブセッティングに一度戻してみようかなと思ったのが、すごい大成功だったと思います」。
加えて、今大会では5戦連続でキャディを務め、“事前準備”にも協力した古賀雄二氏とのタッグも奏功。「私はセカンドの番手ミスが多く、キャディさんがいないとミスりがちだったけど、今週は番手で悩んだときに意見が完璧に一致した」。状況判断で『自身の成長』を感じられたことも高いパーオン率に繋がったと自己分析する。 コンボセットでロングアイアンの5・6番には「T150よりも球が上がってやさしい」『T250』を配置し、7番?PWには「ラフからでもさばきやすい」『T150』を組み合わせる。また、ウェッジは『ボーケイSM11』の48・52・58度の3本を入れるが、70ヤード以内は「58度1本主義」に使い方を変えた。
「前までは使い分けていたんですけど、最近は70ヤード以内もバンカーも、グリーン周りは基本的に58度1本で全てやります。自分で練習しているうちに『58度で全然行けるんだな』と分かって、信頼ができました」。52度は苦手なハーフショットを避け、90ヤード前後のフルショット用として高さを出すために使用。48度は100ヤード前後のコントロールショットで使い、役割分担を明確にする。 ■パットは距離感重視で“右手”で素振り 「今週一番活躍したクラブ」に挙げたのが、5月に替えたスコッティ・キャメロン『PHANTOM 7.2』だ。「去年はパターのスタッツ、ストロークが悪すぎて本当にもったいなくて。しっかり弾いてくれるパターを求めて(変更した)スコッティはロングパットの距離感も『自分のミス』が多い。パター、クラブのせいでは全くなく『いま自分がどういうミスをしたか』が凄く分かるパターです」。
打つ前の素振りは「右手で操作したい」現れだ。「右手の親指と人差し指でショットも打ちたいので。パッティングもそこからやっぱ来ている」と、右手で素振りを3回行い、感覚を研ぎ澄ませてからアドレスに入るルーティンから放たれたパットは、土壇場のプレーオフでも冴え渡り、勝利を引き寄せた。 また、ボールに関しては引き続きブリヂストンと契約を結んでおり、「『TOUR B X』はどんな状況でも強いボールを打つことができるため、とても信頼しています。これからも、複数回の優勝を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします」とコメントする。
自然に操作しやすいクラブに戻し、使い方の学びと入念な事前準備でつかんだ初タイトル。優勝インタビューは実に多岐に渡る内容だったが、海外も見据える彼女に満足はない。「まだまだ苦しさや怖さを知らないので、もっと失敗して、それを(また)優勝したときに“語れるような”良い経験をしていきたい」と、経験値を増やしてレベルアップすることに貪欲だ。 【福田萌維の優勝ギア】1W:タイトリスト GTS2(9.0° TOUR AD UB-6S) 3W:キャロウェイ PARADYM Ai SMOKE MAX(15° 〃 ) 3U, 4U:タイトリスト GT2(18,21°TOUR AD HY 7S) 5I?6I:タイトリスト T250(N.S.PRO Modus? TOUR105 S) 7I?PW:タイトリスト T150(N.S.PRO Modus? TOUR105 S) A,S,LW:ボーケイ SM11(48,52,58° 〃 ) PT:スコッティ・キャメロン PHANTOM 7.2 BALL:ブリヂストン TOUR B X
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