<ISPS HANDA スコットランド女子オープン 3日目◇25日◇ダンドナルド・リンクス(スコットランド)◇6543ヤード・パー72>2日目は6番のダブルボギーに加えてボギーを3つ叩いて「74」。初日の5位から11位まで後退していた山下美夢有だが、3日目を「70」で終え、息を吹き返した。これにはリンクスのコンディションに合わせた、ショット改善が効いた。
夕方にはすっかり晴れ上がったスコットランドの空だが、山下がスタートした昼前は不安定さを残していた。そのなかでも8番までパーを並べ、9、10番で連続バーディ。これには「晴れることはあまり想像していなくて、雨が降り続けると思っていました。耐えるゴルフができた」と胸を張る。リンクスの気まぐれな天候は、なかなか読みづらい。そのなかでの対策について、「球の弾道を、風の影響を減らすよう意識しました。打ち方や、ボールポジションを細かく見ながら」と話す。“風の影響を減らす”というと、低い弾道をイメージするが、その考えに相違はない。ただ山下の話を聞くと、そこに至るまでの“計算”は緻密だ。「スピンが増えると球が上がるので飛ばない。低弾道でスピンが少なく、サイドスピンもなるべくかからないことが大事。日頃から“リンクス対策”ということではなく、アゲンストが強い時などを想定して練習しています。トラックマンの数値を見ながら、自分で距離を把握していて、これくらいの風が吹いたら、これだけ落ちるというのも分かっている。あとは細かいコントロールを、ハーフショットにしたり。そういうのは自分なりに分かっています」自分のプレーをデータを含め、すべて頭に叩き込み、状況に合わせて“最適解”を導き出す。こういったところにも、山下の強さの秘密が感じられる。この日の会場には、山下のラウンドに熱視線を送るきょうだいがいた。男性は先週行われていた「全英オープン」で28位に入ったカズマ・コボリ(ニュージーランド)。最終日には松山英樹と同組でプレーした24歳だ。現在、DPワールド(欧州)ツアーでも戦っている。そして女性は、その姉で27歳のモモカ・コボリ。やはり欧州ツアーでのプレー経験があり、今大会の出場者のひとりだ。予選落ちしたモモカは練習後、弟、両親とともに10番から山下の組について観戦。カズマにこの組についた理由を聞くと、「山下選手のプレーは姉の勉強になると思った。身長もだいたい同じくらい(山下は150センチでモモカは158センチ)で、プレースタイルも似ている。ネリー・コルダ選手を見ても、飛距離など違いすぎるので」と話す。姉も「ボールストライキング(ボールを正確に捉える技術)を特に見たいと思いました。勉強になります」と言って、にこやかな笑顔を浮かべる。16番で山下がグリーンサイドからのアプローチをピタリと寄せると、カズマはこちらを向き、「こういうところです」と爽やかに笑う。いいプレーには惜しみなく拍手を送り、身振り手振りを交えながらきょうだいで話をしながら、18番が終わるまで観戦。幼少期に軽井沢からニュージーランドに移り住んだきょうだいプロも魅了する技を、このリンクスでも見せた。トータル2アンダー・6位タイで迎える最終日。首位とは10打差あるが、「最後まで何があるか分からない。どういう状況がきてもしっかり対応できるように準備したいと思います」。あすも強風が予想されている。そのなかでも日本の女王は、その巧みな技を見せてくれるはずだ。(文・間宮輝憲)
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