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実は「日傘」と「氷嚢」は女子プロが広めた! 猛暑のゴルフで変わった暑さ対策の新常識

夏の時季、ゴルフ場で日傘を差し、氷嚢で首筋や頭を冷やしながらプレーする光景は、今となっては珍しくない。そんな当たり前となった文化を広めたのは、実は女子プロゴルファーたちだ。

【写真】小祝さくら、河本結も氷嚢を持参! 女子プロが携帯する暑さ対策アイテム

■スポーツ界全体の課題となった暑さ対策今年も全国的に猛暑が予想されている。消防庁によると、昨年(2025年)の5月から9月までに熱中症で救急搬送された人は全国で10万人を超えた。近年は環境省が公表する暑さ指数(WBGT)が「危険」を示す日も珍しくなくなり、スポーツやレジャーのあり方そのものが見直され始めている。炎天下で4〜5時間プレーするゴルフは、屋外スポーツの中でも熱中症のリスクが高い競技の一つだ。サッカーのFIFAワールドカップ北中米大会では、暑さから選手を守るため、すべての試合で前半と後半に1回ずつ、3分間の休憩時間、ハイドレーションブレイク(給水タイム)が義務化された。暑さ対策は競技を問わずスポーツ界全体の課題となっており、ゴルフも例外ではない。東京では2025年の6〜8月で、30度以上の真夏日が69日、35度以上の猛暑日は25日を記録した。日本の平均気温も100年間で約1.3度上昇しており、「昔より暑くなった」という実感は数字でも裏付けられている。こうした状況を受け、昨年改正されたスポーツ基本法では初めて気候変動への対応が盛り込まれた。第14条では、スポーツ事故防止の措置を講じる際には「気候の変動への対応に特に留意しなければならない」と明記されている。暑さ対策は、もはや個人の努力だけではなく、スポーツ界全体で取り組むべき課題となった。日本ゴルフ協会(JGA)も真夏のプレーについて注意を呼び掛けている。プレー前日は十分な睡眠を取り、朝食をしっかり食べること。そして暑さに少しずつ体を慣らしておくことが重要だ。プレー中は3ホールごとに約250mlを目安に水分補給を行い、スポーツドリンクや経口補水液を活用する。帽子や日傘、氷嚢、冷却グッズを積極的に使用し、少しでも体調に異変を感じたらプレーを中止する勇気を持つことが何より大切である。■熱中症対策グッズは女子プロから広まった夏のゴルフ場では、日傘を差しながらラウンドする光景が当たり前になっている。この文化を広めたのは女子プロゴルファーだ。当初は日焼け対策として使われていたが、その高い遮熱効果が認識されるにつれ、一般ゴルファーにも急速に広がった。氷嚢も同様だ。現在では各ゴルフメーカーがオリジナルブランドの氷嚢を販売している。女子プロゴルファーがプレー中に氷嚢で首筋や頭を冷やし、体温を下げる様子がテレビ中継でたびたび映し出され、その有効性が広く認識されるようになった。さらに、各メーカーが契約プロに自社ブランドの氷嚢を提供したことも普及を後押しした。プロが実際に使用する姿を見て、多くのアマチュアゴルファーがキャディバッグに氷嚢を入れるようになり、現在では夏ゴルフの必需品となっている。1990年代後半から2000年代初頭にはゴルフアパレルブランドが夏用アクセサリーとして商品化し、猛暑が常態化した2020年代に入ると、各メーカーが相次いで発売するようになった。今では初心者でも当たり前に持参する時代となっている。猛暑はゴルファーの持ち物まで変えたのだ。■ファン付きウェアもゴルフの常識にゴルフ業界で暑さ対策を大きく変えた商品がある。2019年、PRGRが株式会社空調服と共同開発したファン付きウェア「AIR COMPO」だ。工事現場などで使用されていたファン付きウェアをゴルフへ持ち込むことには、「伝統あるスポーツで受け入れられるのか」という不安もあったという。企画段階ではゴルファーへのヒアリングを重ね、約1年をかけて商品化。発売後は予想を超える反響を呼び、現在では他メーカーも相次いで参入した。今ではキャディのユニフォームにも採用されるなど、夏のゴルフ場の風景を変えた商品の一つとなっている。■ゴルフ場も暑さ対策競争へ暑さ対策はプレーヤーだけではない。PGMでは全国148コースに送風機付き「Cool Cart」を導入し、夏でも快適にプレーできる環境づくりを進めている。最近ではエアコン付きカートも登場した。また、ナイトゴルフも人気を集めているという。日差しがなく、芝生の上を吹き抜ける風は昼間とは別世界の涼しさだ。現在、PGMは14コース、アコーディア・ゴルフは7コースでナイトゴルフを展開している。フェアウェイへの乗用カート乗り入れを認めるゴルフ場も増え、歩く距離を減らすことも熱中症対策につながっている。千葉県内のとあるゴルフ場支配人は、「6月に入ると氷嚢用の氷や凍らせたペットボトルの需要が急増します。冷感タオルや日傘もよく売れています。氷は切らさないよう十分に準備しています」と話す。■正しい暑さ対策で、夏のゴルフをもっと楽しくかつては暑さに耐えながら18ホールを回り切ることが美徳と考えられていた。しかし、気候変動によって猛暑が常態化した現在、その概念は大きく変わりつつある。 日傘を差す。氷嚢を使う。ファン付きウェアを着る。カートを利用する。そして、少しでも体調に異変を感じたらプレーを中止する。これらは決して大げさな暑さ対策ではない。自分の命を守り、一緒にラウンドする仲間に迷惑をかけないための新しいゴルフマナーである。猛暑はゴルフを変えた。しかし、それはゴルフを楽しめなくしたのではない。新しい知恵と道具が生まれたことで、ゴルファーの安全を支えている。正しい暑さ対策を身につけることは、これからも長くゴルフを楽しむための第一歩である。夏だからこそ、自分の体を守りながら、ゴルフ本来の楽しさを味わうことが大切だ。(取材・文/嶋崎平人)

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