2024年でツアーから撤退した上田桃子や25年プロテストに合格した藤本愛菜、千田萌花が在籍している「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏。今回はパットの目線についてじっくり聞いた。
【連続写真】目線とヘッド軌道をスクエアに合わせて振り抜く 菅楓華のパッティング
◇ ◇ ◇昨年の女子プロテストでは、チームから藤本愛菜プロ、千田萌花プロの2人の合格者を出すことができました。一昨年の日本女子アマで2位となった藤本プロは、ショット力の高い大型選手です。一方の千田プロは、5年前にチームの門を叩いた選手です。断っても断っても、さらには居留守を使っても、確か5度も電話をかけてきたため、根負けして指導を始めました。当時は高校3年生で、大きな大会に出た経験もなく、正直なところ、プロになれる可能性は極めて低いと思っていました。その彼女が2022年、23年には日本女子オープンに出場できるようになり、そして4回目のプロテストで念願のプロとなりました。亀のような歩みではありましたが、常に前を向いて歩き続ける姿勢は素直に褒めてやりたいと思っています。その成長を支えた大きな要因のひとつが、技術的にはパッティング力の向上でした。パッティングにおいて、多くのゴルファーの関心は打ち方や構え方、あるいはクラブに向きがちです。千田プロもそうでした。しかし、その前に大事なことがあります。それが目線を合わせることです。実は2024年から、こんな練習を取り入れてきました。この連載でも幾度か紹介した、金定規の上でボールをコロがす練習です。さらに室内練習場には、あるシステムを導入しました。構えたときの選手のヘソの高さ、つまり目線の下に、壁と壁を結ぶようにゴムを張るのです。ゴムと床に置いた金定規が平行になるよう、目線を合わせて構えます。現役時代の上田桃子プロは、調子がいいときには「目線が合う」、悪いときには「目線が合わない」と言っていました。パットが課題だった千田プロには、特にこの練習を徹底して行わせました。目線が合った状態で、朝5時からホームコースの鎌ヶ谷CCの練習グリーンに立ち、2時間ボールをコロがします。目線が合ったことでタッチに集中できるようになり、3パットは格段に減りました。また、自分に合ったボール位置も見つけられたようです。ボール位置は体型や利き目、構えや軌道によって選手ごとに微妙に異なります。それがゴムと金定規を一直線に合わせることで最適化され、ターゲットに対して目線が合うようになったのです。「パッティングに型はなし」と言われますが、千田プロは目線に合った自分なりの型を作ることに成功しました。もし読者の皆さんがタイガー・ウッズの技術に近づく可能性があるとしたら、それはパッティング以外にないでしょう。あの芸術的なパッティングを超えることはできなくても、少しでも近づくことは可能です。そのためには、まずこの目線の練習をしてみてください。自宅のフローリングの継ぎ目など、真っすぐなラインに目線を合わせるのです。どんな難しいラインでも、最初の30センチから1メートルは真っすぐに打ち出されます。構えたとき、そのラインに目線が合っているか。そして、その出球に対してフェースがスクエアに向いているか。打ち方は、目線が合ってからようやく訪れる次の段階です。入れることはさらにその先です。まずは目線を合わせることが急務です。もちろん壁にゴムを張るのが理想ですが、フローリングの板目を使って目線を合わせるだけでも、アマチュアにとっては非常に効果的な練習になります。これはパッティングに限らず、ショットにも通じる話です。というのも、人間が得る情報の80?90%は目から入ってくると言われているからです。例えば右の林が迫り出して見えれば、「嫌だな」と感じて反応するのが人間の体です。もちろん、それが危機管理につながる場合もあります。しかし、過剰反応によって左へのミスが出たり、逆に吸い寄せられるように右の林へプッシュしたりすることもあります。それを防ぐためにも、目線を整えることが重要です。ショットの場合は空中戦ですから、ターゲットに目線を合わせ、その後にフェースを合わせてアドレスへ入っていきます。そうすることで再現性の高いアドレスを作ることができます。さらに言えば、これから打つ弾道をイメージとして思い描くことも重要です。私はよく街で「あの赤い車まで何ヤード?」といったクイズを選手に出します。上達の早い選手は、往々にしてかなり近い数値を答えるものです。自分の感覚で見た距離を、計測器などで確認するのが正しい使い方ではないでしょうか。目線も同じです。目線が合ったと確信できれば、パッティング技術は飛躍的に向上します。■辻村明志つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。2025年は千田萌花と藤本愛菜をプロテスト合格に導いた。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。※『アルバトロス・ビュー』928号より抜粋し、加筆・修正しています◇ ◇ ◇ ●菅のパットを詳細分析! 関連記事『平均パット数1位の菅楓華のストロークを分析! 安定感抜群の“脱力ストローク”を真似する方法をプロコーチに聞いた』を詳しく読めば、その秘密が分かります。
<ゴルフ情報ALBA Net>






