その年の顔となるクルマを決めるのが「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。今年も選考の時期がやってきた。12月の本選に向けて、ノミネートカーの中から10台が“10ベストカー”として選考された。そのキャラクターはさまざまで、個性的なクルマばかりなのはもちろん、輸入車勢が4台も入っているのは注目だ。そんな10ベストカーについて、選考委員の一人であり、大のゴルフ好きでもある松任谷正隆氏に語ってもらった。
【写真】松任谷さんの辛口コメントも飛び出した? 10ベストカーに選ばれた日本車
編集部(以下、編):いやあ、日本カー・オブ・ザ・イヤー、一度見てみたかったんですよ。松任谷(以下、松):見せてあげないよ。編:松任谷さんがどんなクルマに入れたのか、教えてくれるんですよね?松:教えてあげないよ。編:えっ、話が違いますよ。今回は日本カー・オブ・ザ・イヤーの話ですよ。松:知ってるよ。編:だったら話をしてくださいよ。松:言える範囲でね。編:なんだかなあ、いつもゴルフを教えてあげてるのに、何なんだよ……ぶつぶつ。松:言っておくけど、君はいつも自分のゴルフしかしてない。教えてくれた事なんてない。編:何言ってるんですか。パットのラインとか教えてあげてるじゃないですか。松:打った後に言うよね。編:……。松:そういうこと。編:松任谷さん、ところで何年選考委員をやってるんですか?松:1992年からだな。それから毎年。休んだことはないね。編:33年ってことですか。いたずらに長いですね。松:思えば、その間にいろいろ変化したね。編:例えば?松:輸入車がノミネートされるようになったのはだいぶ後になってからだし。編:ふんふん。松:自分が最年少だと思っていたのに、知らないうちに長老の仲間入りをしていたし。編:ま、そりゃそうですよね。松:でも、俺にしてみれば、この場ではいつも新参者だよ。編:へえ、そういうもんなの?松:専業じゃないからね。仕方ないだろ。編:今年から点数の入れ方が変わった、という話は聞きました。松:そうだね。数年前に一度変わって、今回はその揺り返しが来たみたいな感じで変わったね。編:去年までは10ベストの中から3台に配点だったんですよね?松:なんだ、知ってるじゃないか。その前まではずっと5台だったんだよ。30年近くね。編:ほう。で、今年は10台、全てに配点をする、と。松:そうらしい。編:らしい、なんて松任谷さん、無責任な感じがしますけど。松:いやいや、カー・オブ・ザ・イヤーは実行委員のものだ、と最初から思っているよ。編:実行委員ってメディアの集合体ですよね。松:そう。競馬でいえば、レースを主宰したり、集客したり、レギュレーションを考えたりするのが実行委員。選考委員はひたすら馬を走らせる。編:へえ、松任谷さん、競馬やるんですか? 意外。松:やらないよ。これは単なる例えだ。編:ときどき知らないことを例えに出しますよね。紛らわしいなあ。で、今年の10ベストは決まりましたね。僕も見ました。で、どうでした?松:僕が入れた10ベストとは少し違ったかな。編:そこが聞きたいです。松:教えないよ。編:ちょっと待ってくださいよ。それじゃあ話にならないんだから。松:まあ、そうだな。でもこれはぺらぺらと人に話すものではないと思うんだよね。だから言える範囲で話すよ。
まずは日本車から! 気になる軽自動車の評価は?編:わかりました。それでいいです。では選ばれた10ベストについて聞きます。まずスズキのeビターラ。松:電気自動車だよな。編:ええっ!? それだけ?松:だから言える範囲で。編:ということは入れなかったって事?松:ノーコメント。編:なんだかなあ。では次はスバル・フォレスター。松:よくできたクルマではあると思う。ただし、新鮮味には欠けるかな。編:関係者のがっかりした顔が浮かびます。そんな感じなわけ?松:点数を入れなければならない人間の心理を考えてくれよ。いいクルマ、好きなクルマはたくさんある。でもイヤーカーというのは少しわけが違う。少なくともその年を代表するクルマなんだからね。こうやって減点法をしていかなきゃならない場合もあるんだよ。編:シビアですね。松:だから言ったろ。編:では次はダイハツのムーヴです。軽が10ベストの中に入ってきましたね。松:過去に部門賞として軽部門というのが存在した時期もあったんだけどね。今は部門賞はテクノロジーとデザインの2部門だけになっているね。編:で、ムーヴはどう?松:まあ、今の軽はみんなよくできているけどさ。個人的にはいつになっても改良されないところはあるよね。ステアリングのギア比とか、ブレーキのキャパシティとか。編:まあ、あんまりステアリングが切れると、背の高いクルマはコロッといきそうですからね。松:でも、だからってあんなにスローにすることもないだろ? それにムーヴは女性にはブレーキが重いと思った。編:ネガティブねえ……。まあいいか。では次はトヨタのクラウンエステート。松:クラウンは素晴らしいクルマだよ。でも、僕は確か去年とかにいい点を入れた記憶があって、今回のエステートもその流れで去年の配点に加算したい。編:わけの分からないこと言いますね。去年評価したからいいじゃないか、と?松:まあ、そういうことだな。編:次は日産・リーフです。松:まだ乗ってない。10ベスト試乗会までには乗れるスケジュールになっているけどね。編:えっ? じゃあ、このクルマに票は入れたんですか?松:ノーコメント。編:なんだかなあ。次は僕の大本命、ホンダ・プレリュード。松:ほう、若いのにデートカーなの? SUVじゃなくて?編:カッコいいじゃないですか。松:俺も好きだよ、このスタイル。でもネガがあるとすれば……。編:すれば……?松:ホンダのハイブリッドシステム「e:HEV」はシビックの時に評価してしまった、ということ。それとわざわざスムーズな加速に段差を付けるやり方はどうなのかな、と。音もそうだな。本音をいえば、我々の世代には楽しめていいんだけど、未来のテクノロジーと考えると、どうなのかね。
ネガなし!? 輸入車は意外なモデルがお気に入り編:なるほどね。そう考えていくのか。少し参考になりますね。次はBMWの2シリーズ グラン クーペです。松:地味に良くなっているよね。これといって新しさは感じないけれど、いいクルマではある。編:ということは……点数は入れない、と?松:いやいや、今回は10台全てに点数を入れなければならないから点数は入れるよ。でも何点を入れるかが問題。編:では次、ヒョンデ・インスターです。松:このスタイルは独特だよな。フィアットのムルティプラとかを連想してしまう。小さくて使いやすい。値段も手頃。編:おおっ? ということはこれが最高点? ネガがないじゃないですか、ネガが。松:今のところはね。でも試乗会の時までに探す。編:厳しいなあ。ねえねえ、やっていて面白いんですか? 選考委員。松:面白いよ。辛いのは点数を入れる時だけだから。編:だってそれが全てじゃないですか。松:そうでもないよ。クルマを取り巻くいろいろな人たちを見ることができるし、第一、進化がどういう形で現れるのかを見ているだけでわくわくするよ。編:ふうん、次はプジョーか。3008ね。松:プジョーの正常進化。おっ! というほどの新しさはないかな。編:へえ、松任谷さんはプジョー贔屓だとばかり思っていましたけど、違うんですか?松:だからあ、個人的に欲しいクルマと点数を入れるクルマは違うんだって。編:一緒のことはないんですか?松:まあ、そういうときもたまにあるかな。編:まあ、いいや。では最後です。フォルクスワーゲンのID.Buzz。松:異色のやつね。2列目は乗り心地があまり良くないぞ。それに高い。編:プライスは配点と関係あるんですか?松:僕の場合はあるよ。微妙ではあるけどあるね。
気になる! 投票したけど10ベストに入らなかったクルマは?編:松任谷さんは教えない、と言っていたけど、10ベストに入らなかったけど10ベストに入れたクルマを少しだけ教えてくれませんか?松:しつこいな。じゃあ少しだけね。編:というか、僕が当てましょうか?松:おお、そう来たか、じゃあ選考理由も付け加えてね。編:アルファロメオジュニア。ステランティスグループ共通のプラットフォームを使いながらアルファロメオらしいから。松:がーん。編:ん? 今、がーん、って言いました?松:まあ、少し動揺した。編:キャデラック・リリック。新生キャデラックの切り込み隊長。何もかもが新しい。松:俺の携帯、見た?編:それからアウディA5も怪しいな。これは単純に完成度の高さ。アウディらしさ。松:……。編:あとはポルシェ・マカンかな。テレビで見て相当感心していたから。とはいえ、まあ、値段がね……。松:もういい。わかった。ほぼ当たったよ。でも、これからだよな。全部に点数を入れていくわけだから。編:自分が入れてないクルマに点数を入れられるんですか?松:これは修行のようなものだな。編:顔が辛そうですよ。大丈夫ですか?松:今年の物差しがどんなものなのか、いろいろ考えているんだよ。カレー粉だけではカレーにならないから、いろいろなスパイスを入れて物差しを作るんだ。編:バランスですね。期待してますよ。松:期待なんてしてないくせに、見え透いてるんだよ!◇ ◇ ◇ユニークなデザインに注目!→関連記事で【ルーフにキャディバッグが積める? かわいさ満点のコンパクトEV「インスター」に興味津々!】を掲載中
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