<ファンケルクラシック 初日◇17日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇6986ヤード・パー72>今年の「全米プロシニア」「全米シニアオープン」に出場した54歳の兼本貴司が、1イーグル・5バーディ・2ボギーの「67」をマーク。7月の「倉本昌弘 INVITATIONAL EAGLE CUPシニアオープンチャリティートーナメント」以来となる上位発進を決め、首位と2打差の5アンダー・3位タイで2日目を迎える。
スタートホールの1番パー4では、300ヤード超のドライバーショットを披露。最大の“武器”で観客を沸かせた。続く2番ではティショットをフェアウェイに置き、248ヤードの2打目を3番アイアンでピン右サイドのエッジへ。「たまたまです。イーグルで流れに乗った」と謙遜したが、パターで沈めてのイーグル奪取が一日のリズムを作った。その後も6、9、10、12番でバーディを奪取。「(要因は)パッティングが入ってくれたことが一つ。あとは、“あっ”と思ったらピンについたりね。デカいと思ったらピン横じゃん、みたいな。そういう誤差はあった」と笑う。スコアからは好調に見えるが、本人にとっては感触とは裏腹の内容だったようだ。今年はショットの精度に苦しみ、試行錯誤を重ねている。「やっぱりクラブがうまく操れない。潜ったり、薄く当たったり。いいショットは以前に比べたらポツポツあるけど、やっぱりドライバーが上手く打てない。プルフックが出る。アレがなかったら、『ゴルフって楽しいな』って思えるんだけど」。特に悩んでいるのはドライバーだ。平均飛距離は54歳にして300ヤード。しかし、「飛距離が出る人は曲がるとダメですね。そのぶん、やっぱりコースを感じてしまう」と、方向性の課題が出てくることで、ホールの狭さなどのプレッシャーも感じてしまう。ボール初速が速い分、サイドスピンの影響が大きくなることや、わずかな打点ズレで弾道が大きく曲がる。現在はフェードボールを打つためにスイングを見直しているが、「フェードを狙って左に行っている。逆球も甚だしいくらいの逆球」と苦笑い。「原因はわかっているんですけど、なかなか直らずここまで来た」。それでも、この日は不安を抱えながら好スコアでまとめてみせた。今季16試合中、今週は第12戦。現在、賞金ランキング36位につける兼本にとって、来季のシード権(上位30位)獲得のためにも、ここからの一戦一戦が重要になる。しかし、「多分、直らないと思って半分諦めている。毎日69が続くゴルフではまったくない。一発バッと出るけど、ズルズル落ちる。波が激しい。あまり期待していないです。きっかけはつかめないです」と苦しい本音が口からこぼれる。それでも前を向く。「とりあえずいい位置でいたい。きょうよりもあすは風が逆になるので、マネジメントが逆になる」。初日とは違うマネジメントを組み立てて、今できることを一つひとつ積み重ねていく。(文・高木彩音)
<ゴルフ情報ALBA Net>