アイアンの「ソール」と聞くと、多くのゴルファーは打ったときの“抜けの良し悪し”に関係すると考えがちだ。確かにそれも間違いではないが、ギアコーチの筒康博氏によると、実際には重心設計への影響が非常に大きいという。
【写真】トゥ幅が長いのが、ダフリに強かった! 21.4mmのタイト『T250』、23.5oのピン『i240』
「比重の重い金属で作られるアイアンでは、ヘッドの形状そのものが重心設計に大きく関わります。ソールを薄く設計すれば重心が高くなり、スピンの利いたボールが打ちやすくなります。逆にソールを厚くすれば低重心となり、ロフト以上にボールが高く上がるクラブが作れます。最新のアイアンでは、ソールの厚みで重心位置を調整したうえで、フロントエッジやトレーリングエッジを削ったり、全体に丸みを持たせたりすることで接地面積を変え、抜けの良さを高めています。重心と抜けの両面からアイアンを選ぶことで、自分に最適なモデルを見つけることができるでしょう」筒氏によると、アイアンのソールで注目すべきポイントは3つあるという。@ ヘッドの重心高さと深度ソール幅が狭いアイアンは、ヘッド中央から上部にかけて肉厚になり、重心が高くなる。一方、ソール幅が広いモデルは、ヘッド下部に重量が集まり、重心が低くなる。さらに深重心設計となる。A スイングとの相性「フロントエッジ」と「トレーリングエッジ」が削られたソールは、鋭角に打ち込むスイングと相性が良く、多くのプロが好んで使用している。一方、全体的に丸みを帯びたソールは、どの入射角でも抜けの良さが得られる万能タイプといえる。B ソールの抜け最新モデルでは、接地部分の幅を調整することで、抜けの良さと寛容性のバランスを取っている。抜けの良さを重視する場合は、接地面の幅が狭いモデルを選ぶのがおすすめだ。また、ミスに強いモデルが欲しい場合は、トゥの幅を見るのがいい。トゥが広いほど、ヘッドの直進性が高く、ダフリに強くなる。ダフリに悩む人は、そういう傾向のあるモデルを選ぶといいだろう。【今回の試打リスト】タイトリスト:T250ミズノ:ミズノプロ M-13テーラーメイド:P790ピン:i240キャロウェイ:Xフォージド MAXダンロップ:スリクソン ZXi5プロギア:PRGR03■解説 筒 康博つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで、豊富過ぎる知識を持つ通称“ ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている。◇ ◇ ◇人気アイアンを調査。関連記事『79mm前後に人気モデルが集中! 最新アイアンの性格は“ブレード長”で8割決まる【アイアン41モデル比較】』を読めば、その秘密がわかる。
最新アイアン『ソール』図鑑最後は最新アイアンの『ソール』の詳細なデータを大公開!「ソール幅」で重心位置、「接地面の幅」で抜けをチェックしてみよう。また、ミスに強いモデルが欲しい場合は、トゥの幅を見るのがおすすめだ。トゥが広いほど、ヘッドの直進性が高く、ダフリに強くなる。
タイトリスト:T250見た目以上に低重心で楽に高さが出る接地面の幅は広めでミスに強く、『ソール』に丸みがあるので抜けも良い。ヘッド内部にウェイトを内蔵している分、見た目より重心が低くく、やさしく高弾道ボールが打てるのも特徴。性能バランスが良く幅広いゴルファーに合う。
ミズノ:ミズノプロM-13スムーズな抜けでキレの良いショットが打てるマッスルライクな見た目で接地面の幅は狭めの設計。ラフでもヘッドがスムーズに抜けて、ボールをコントロールできる。一方で、フェースの芯は広めでミスヒットに強く、芯を喰ったときは強い弾きで飛距離が出る。
テーラーメイド:P790丸みの強い『ソール』で抜けと寛容性を両立ヒールが広い分、アドレス時の座りが良く、ターゲットに構えやすい。接地面の幅はやや広めでミスヒットへの強さを出しながら、丸みを強くすることで抜けの良さも両立している。安定した高弾道キャリーが打ちやすいモデル。
ピン:i240広めのトゥで高MOI化方向性の高さはピカイチセンターからトゥにかけて『ソール』を広めに設計することで、慣性モーメントを高めている。見た目以上にミスヒットに強く、曲がりの少ない真っすぐなボールが打ちやすいし、トップクラスに高い弾道でグリーンに止められる。
キャロウェイ:XフォージドMAXセンターの厚みで打感が超ソフト接地面の幅は狭めで抜けの良さを重視したモデル。また、トゥとヒールに2つのポケットを作り、ヘッドの直進性を高め、打点の裏に厚みを持たせることでソフトな打感を実現。スピンがしっかり入って操作性も高い。
ダンロップ:スリクソンZXi5抜けの良いV字ソールであらゆる入射角に対応中央付近の1点だけが接地する独自のV字ソールを採用。圧倒的に少ない接地で抜群の抜けの良さを実現している。また『ソール』を2面に分ける効果もあり、ダウンブローなら前側、レベルブローなら後ろの面がミスをカバーしてくれる。
プロギア:PRGR03超幅広&丸いソールでとことんミスに強い『ソール』幅が圧倒的に広く、丸みの強さもあるので、ダフリなど、入射のズレをしっかり補正して、飛距離ロスを防いでくれる。かなりの低重心ヘッドで、中高弾道の強いボールで飛距離を稼げることも特徴となっている。
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